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ユーディキウムサーガ 父親に捨てられた少年は好きになった少女のために最強の剣士を目指す  作者: ムラタカ


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65話  死にたくない

     

体中から血が吹き出し、吐血するモルタ


その損傷箇所を補修するため体に直ぐ様エーテルが循環し、肉体の至る所から煙が吹き出て血肉が癒着する

苦痛と激痛、憎悪に顔を歪めたモルタは眼前に突然現れた漆黒の鎧で身を固めた仮面の男を睨む



「どうして皆モルタの邪魔をするの?モルタはオネェちゃんを殺したいだけなのに!邪魔しないでよ……邪魔!!しないでよぉぉーーーーー!!!!」


獣の咆哮のように叫ぶモルタに呼応するように周囲のマナが噴荒れ嵐の様に風が流れる

空気が軋み、風が重さを伴う


空間に圧をかけるモルタのオドは膨れ上がって増大し、黒髪の美女に匹敵する程のエーテルを出力する



しかし仮面の騎士はそんな化け物と対面しても特になんらかの感情を持つ事なく呆然と立ち尽くす


まるで亡霊のように



「ウゥゥうぅぅ〜、モルタの邪魔しないでよぉ…モルタの!邪魔!しないでよぉ!!!」



モルタは先程と同じ様に大きく肥大化し血管等が浮き出たグロテスクな自身の左腕にエーテルを乗せ、ただの人ならば骨も残らないような力を込めて仮面の騎士に襲いかかる


しかし騎士はその一撃を容易に片手だけで受け止め、もう片方の腕でモルタの顔面を殴り飛ばした


モルタの一撃は防がれたとはいえ受け止めてどうにかなる物ではない、先程のシェイン同様、そのすさまじい反動で吹き飛ばされるなり、ぺちゃんこに潰されるのが道理だ、凄まじい威力なのは違いない、 現に仮面の騎士の周囲の地盤が崩れ窪み、クレーターの様になっている


しかし仮面の騎士は健在で尚且つ反撃する余裕すらある程だ、

仮面の騎士に殴り飛ばされたモルタは直ぐ様起き上がり、自分の思い通りにならない事に強い憤りを感じる



「どうしてどうしてどうしてどうして!!」


「模造品では所詮この程度か、贋作如きがオリジナルに成り代わろう等烏滸がましい」


「モルタは偽物じゃないィィ!!」



涙目で仮面の騎士に襲いかかるモルタだが当の騎士はそのモルタを贋作と言い捨て彼女の顔面をムズっと掴むとそのまま地面に叩きつけ足で地面に埋まった顔を踏み抜いた



地面に埋まって潰れた頭の肉片やら血が吹き出て体はピクピクと疲弊し壊れたブリキ人形の様になる

普通なら頭を潰された生物は即死するのが自然の摂理だが、周囲のマナがモルタの体に集まり、いや、かき集められ潰れた頭の再構築を始める 



「贋作とはいえ流石はネメジスを模倣しているだけはあると言うわけか……おぞましい事この上ない」



「もっ……もる……もろ……モ…ルタ……もる…偽物……似せ……じゃない……じ…ない!モルタ…似せ物…じゃない!!」



再生した頭から血をふき出し涙と鼻水とヨダレを垂れ流しながらモルタは慟哭する

自分は偽物ではない!

代りなんていない!

ただ一人の本物なのだと…



「お前は偽物だ…、それ以上でもそれ以下でもない」


「ウルサイ!うるさい!うルさぁイィィィィ!!!」



急激なダメージを短時間に立て続けに受け、体中のアチラコチラが変容したモルタは各部が膨張し、醜く、グロテスクなモンスターに変わり果てて行く、もとがフィーファにそっくりな美少女なだけにそのアンバランスさが見た目の異径感を才立たせている、性懲りも無くモルタは左腕にエーテル、魔力を上乗せし、懲りずに仮面の男に殴りかかる、

だが、これまでの攻防で仮面の男は一度も剣を抜いていない、素手だけで応戦していたのだ、

しかし仮面の男はその手に剣を握っていた、

それが何を意味するか、

怒り狂うモルタには理解する余裕も時間もなかった。



仮面の騎士が手にした黒い禍々しい意匠の剣がそのデザインに見合った黒い光を放ち、剣自体が変形し、黒い光が大きな大剣の形を形成する


白い光を力とするシェインの件の力とは対極にありながらその力は件の力に対抗出来るほどの膨大な死を凝縮している、その黒い力はモルタの左腕を蒸発、あるいは溶かすように消滅させ、周囲に集まったマナすらもかき消す、

まるで黒い光に触れた物はその存在を許されないかの様に、



左腕を失い、周囲のマナが消えた事でモルタの肉体膨張は収まり元の小柄な少女の姿へと戻る、

しかし戻らない物もある、

それはマナが消滅したことで肉体の損傷を治癒出来ない事だ、許容量を超えたダメージは魔力を肉体に環境させる事で修復する特異体質を持つ彼女だがその治癒、再生を発生させる事が出来ない、

しかし内部の体内魔力、オドを用いることで再生する事は可能だ、しかし、



「いだい、イダい、どおじで?おてて、生えてこない…イダイよぉ……イダイお手、モルタのお手…」



左腕だけが再生しない、どれだけ左腕にオドを送り込んでもあの“黒色の剣”で斬られた左腕の再生だけが出来ない、今までこんな事は無かった、なのに……


 「当然だ、お前の腕はユーディキゥムによって消滅した、お前自身も消えろ……」


「いっ…い…嫌だ…嫌だ嫌だ!!」



モルタはその場から逃げ出す、顔を涙と鼻水とヨダレでぐちゃぐちゃにして、

死にたくない、たったそれだけの純粋な本能に従って恥も何もかなぐり捨てて、

しかしそんな彼女を見つめる黒い死神がそれを見逃すかは別問題なのだが……



「うぅ…、」



仮面の騎士が剣を構えた時に後ろから声が聞こえて、振り返れば気絶したフィーファが倒れていた、


足からは未だに血が流れており光熱を出しているのか息も荒い、放っておいていい状態では無さそうだった、



「アレは捨て置くか、どうせ長くはあるまい…」



騎士はフィーファを抱き上げ何処かへと歩きさって行った、その姿は彼の黒い外見通り闇に紛れ初めからそこには誰もいなかったようにすら思える

ただ激しい攻防があった事だけは周囲の荒れ果てた惨状から容易に予測出来た







滝に繋がる激流に飲まれたシェインは自身に激しく打ちつけられる水の暴力に成す術なく打たれ気絶と覚醒を強制的に繰り返させられていた、

口と鼻いっぱいに水が流れ込み、息もできず激しい水の流れに身動もままならない、


次第に意識が遠のき、シェインは死を覚悟する、


これまで死を覚悟する局面は何度かあった、

村の中にいた頃はこんな体験をする事になるなんて思っても見なかった、自分の浅はかさには毎度辟易とさせられる

しかし、学んだ事も多くある、人間大抵の場合、追い詰められないと学べない事と言うのは結構多い


コレもその一つだ、





よぉ、久しぶりだな、



「またきてくれたんだね?」



俺も来たくて来てんじゃない



「ならどうしてきたの?」



多分、今死にかけてるからかな、死にかけてるとアンタとこうして話が出来るみたいだ



「君とは毎日お話してるよ?」



嘘つけ、俺にそんな記憶ない



「それを君が覚えてないだけ…」



マジかよ、俺そんな忘れっぽいかな?



「しかたないよ、それが普通だから…」



なぁ…アンタはなんなんだ、俺のあの力と何か関係してるのか?知ってるなら教えてくれよ、



「君はユーディキゥムの片割れ、」



ユーディキゥム?



「そう、わたしの夢…願い…」



あんたの……夢?






意識が遠のき薄れていく、

いつもの白に染まる感覚、

世界と溶け合い、混ざり合う、そんな感覚






モルタは走っていた、時折足をもつれさせ、転けそうになりながら、また、実際には転けながら、立ち上がっては必死に走っていた、


「死にたくない死にたくない死にたくない!!」


仮面をつけた死神から

必死に逃げていた、

後ろを振り返っている余裕はない、

そんな動作に時間をかけてアイツに追いつかれたら今度こそ殺される

顔を涙と鼻水とヨダレとコケて付いた泥でめちゃくちゃに汚して、それでも走っていた、

左腕が無くなった事でバランスが取りづらく、何度もコケる、

先程から頭が痛くて死にそうだがそれでも走っている


理由は簡単、死にたくないから

しかしそんなモルタの努力は無駄に終わる


目の前に別の死神がいたからだ



「……さっきの……お兄ちゃん…?」



白い光に包まれたシェインがそれこそ幽鬼のように立っていた、

モルタを感情の伴わない目で見ながら


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