54話 シェイン対レスティーナ王
「レスティーナ王、僕と手を組まないか?」
「このワシにソナタと組めと?」
ラミュアがレスティーナ王に出した提案、それはレスティーナ国とイノセント国の同盟を意味する
「決して君にフリな話ではないと思うんだけどね?」
「くくく、何を言い出すかと思えば同盟とは、このワシが薄汚い亜人どもと同盟など取ると思っているのか?」
「意外だな、君はそんな見せかけのデメリットに目が眩むような無能ではないと思ったからこの提案をしたのだがね?知ってるよ?君はアングリッタを恐れている、今の力をつけ始めたあの国をね、」
「それは貴様とて同じだろう、あの国は貴様等に取って目の上のたんこぶなハズだ、」
「否定はしないよ、アングリッタは目障りだからね、イノセントの国力ではあの国と渡り合うのは無理だろう」
「だから我がレスティーナの国力を得て備えたいのだろう?お前達亜人国家は列国最弱だからな?」
「今更列国なんてくくりはなんの意味もなさないよ、既に一国は事実上衰退し5代国家の意味をなしていないし、こうして足元ではトップ同士が互いを蹴落とそうと躍起だ、まったく、群れたがる癖に統率力がない、これだから人間は面白い」
「亜人如きが人間を見下すか、」
「見下してはいない、有りのままを述べているだけだ、君は統率力のない民主と言う烏合の衆を取りまとめる山猿と等価だ、君が神に焦がれるのは山のてっぺんを求める山猿の習性と同じだ」
「取り消せ亜人、過ぎた言葉は身を滅ぼすぞ?」
「誰に対して口を開く?凡人如きが僕に楯突くなよ?」
広い王の間に二人の魔力が吹き荒れる
シェインもフィーファもそしてレンすらも二人の魔力に気圧され一歩下がる
(なんで俺とフィーファの結婚とか訳のわからねー話からこんなややこしい話になってるんだ?)
レスティーナ王に呼ばれてあれよあれよとやってきて見ればフィーファと結婚しろだとかお前が神だ!とか訳のわからん事を立て続けに言われ混乱の最中にあるなか国のトップ同士の小難しい言い合いに巻き込まれ、気付けば一触即発の空気だ、
フィーファの事は好きだ、それは揺るがない本心だ、できるなら結婚だってしたい、しかし結婚とか実感がわかない、俺は14,フィーファはたしか一つ上の15だ、
そういうのはもっと先の話だと思っていた、だから実感がわかない、
そもそもあのジジィは俺とフィーファの中を元々肯定していた訳じゃない、俺があの“白い力”を使えるからほしくなっただけだ、
それだけを理解すれば後は簡単だ、つまりあのジジイは俺とフィーファをコマとして利用したいだけなんだ、
ラミュアのいう山猿、つまりはお山の大将としての威厳、そのために力を求めてるだけなのだ、
「何だ、小難しい事ペラペラいって王様も俺等と同じただの人じゃん、バカみてぇー、」
「何?」
ラミュアから今度はシェインへと険しい視線を向けるレスティーナ王、だが畏怖を感じない、この老人にシェインはもう恐れを感じなくなった、
この老人が背伸びをして自分を大きく見せようとしているただのか弱い老人に見えたからだ
「アンタが俺等と同じだと言ったんだ、人並みに力を求める在り来りな人間だってな、」
「ワシをただの人というか小僧?人の上に立つ王たるこのワシを!何も知らずその力を偶然手にしただけの俗物如きがこのワシを愚弄するか!」
「驕り高ぶりも大概にしてください!
お祖父様、心配しなくともいずれこの国は私が継ぎます、私と私の騎士、シェインが、だからお祖父様は私達を草場の影から見守っていてくださればそれで良いのです!」
「小娘が!誰のお陰で今日まで生きてこれたと思っている!驕り高ぶっているのはお前だろうが!」
「黙れよ!ジジィ!あんたの言ってるのはそういう事なんだよ!他人を利用するコマとしか見てない癖にその他人からコマにされるのは嫌ってだだの我儘じゃねーか!長い事生きて来て恥ずかしくないのか!」
「今日まで育てて頂いた恩義は感じています、ですが私はお祖父様の道具じゃない!自分の目で見て聞いて色々な体験をし、この国を支えていくに足る人間になります、どうかその邪魔をしないでください!」
「ククク、クハハハハハ!!吠えたな小僧、言ったなフィーファ!ならばお前達の覚悟をこの老いぼれに見せてみよ、手加減はせん!この老いぼれに報いてみよ、お前達の覚悟をこのワシに見せてみよ!!」
体から溢れていたマナが老人から溢れ出す、いつぞやの戦いとは訳が違う、老人はレスティーナ国王は全力ダシェイン達に力を振るう気だ
「ここで戦うのか?」
「心配は無用だ、お前達が暴れた所でこの広間はびくともせんわ」
「そうかよ、」
「亜人の長も加わりたいなら遠慮することはない、纏めて各の違いを教えてやろう」
「あぁ言ってるけどどうする?手助けは必要かい?」
「いんや、俺だけでやる、ついでにリベンジしてやる」
「シェイン…でも、」
「大丈夫だ、もう負けない」
「神を下したあの力が無ければお前は所詮凡庸な子供だ、それを介さぬとは、何処までも浅はかだな、小僧」
「浅はかなのはアンタだ、頭でっかちのわならずやが」
「殺してしまっても恨むでないぞ小僧!」
「誰が!!」
王は手を素早くシェインへとかざしそれと同時に王の 無詠唱魔法が発動する
シェインの視界には王が手をかざした時から断続的な線の軌跡が見える、自分の方向に高速で襲いかかってくる線をシェインは“斬った”
剣で斬られた線、魔法はその場で爆発し、シェインに届く事は無い
無詠唱魔法、元来魔法は術の行使に言霊としての詠唱を不可欠とする
より高度な魔法使いはこの詠唱の工程を省略し、速度を重視する、反面より長い詠唱を行い術の制度を向上させる手法も存在する、
言ってしまえば前者の完成形がレスティーナ王
後者の完成形がラミュアとなる、
詠唱という工程そのものを省き魔法を発動するのは極めて高度な儀式を自身の内で確立する必要がある、
効率を重視し、無駄を嫌う王の行き着いた魔法の完成形それが無詠唱魔法となる
王はその無詠唱魔法にてシェインを圧倒する
様々な属性の魔法を高威力で叩きつける
足元を泥に変え動きを阻害したり雷を降らして感電死ささようとしたり、氷の矢を降らしたりと様々な魔法の形がシェインを襲う、
一度王に敗れる原因となった設置型魔法も王は至るところに施した、
普通ならこれだけの猛攻を受ければひとたまりもない
以前のシェインならここ時点で負けていただろう、
だが、
「何故だぁ!?何故ワシの魔法が!ワシの無詠唱魔法が当たらない!?こんな事あり得ない!あり得ない!!」
王の魔法はその尽くが白い力を“発現させていない”シェインによって防がれている
足元を泥に変えればそれを咄嗟に避けて、雷を落とせば剣を避雷針代わりにして避けて、氷の矢も剣で自分に当たりそうなものだげ最低限の動きで叩き落とす
設置型の爆破魔法も要は地面を泥に変えるソレと同じ
魔法を線と視認するアンティウス流の極意の前には設置型だろうがなんだろうが端から意味はない
ラミュアの様に線を斬り切れない程の濃密なマナをその一射に込めれば攻略は可能だ、現にシェインはラミュアの奥の手になすすばなく敗れている
しかし速度を重視するレスティーナ王の魔法は早いだけで威力に関して言えばそこまでの脅威にはなり得ない
シェインの剣術で十分対応可能だった、
「無詠唱魔法か、実際に見ると凄い物だな、ほぼノーリアクションで言霊儀式を省略してるのか…なんだかんだいって彼も一流の魔法使いで有る事には変わりないか、」
「確かに祖父の無詠唱魔法は凄いですけど…シェインは何をやってるんですか、祖父の魔法が一切当たらない、あんな事、普通、不可能ですよ、」
「彼の師が編み出した剣術の極意らしいよ?まったく魔法使い泣かせな技術を残してくれた物だよ、」
「グライン卿の技…、」
王はシェインの頭に向けて手を翳し、ソレと同時に爆発が起こる、バックステップでなんとか交わすがそれを出来ずにいたならばシェインの頭は木っ端微塵に吹き飛んでいた、
その証拠に毛先が少しコゲていてコゲ臭い、
髪を手でぱっと払い王を睨みつける
「とうとう殺しに来たか、マジで加減は無しみたいだな、王様」
「あり得ないあり得ないあり得ない!!ワシの無詠唱魔法をことごとく……そうか!貴様あの力を、神を下したあの力を行使しているな!そうだ!そうに決まっておる!!」
「はぁ?」
「この魔法学を極めたワシが!
無詠唱魔法の発案者たるこのワシが!!
お前の様な無学の小僧に負けるハズがないんだー!」
苦し紛れの王の魔法は火球となってシェインに飛来するがそれをシェインは虫を払うように剣で叩き落とす
「哀れだね、レスティーナ王…」
「何!?」
「シェインはあの力を使ってないよ、君は人のままのシェインに技術で敗北してるんだ、認めなよ、君は今、見下していた子供に完敗してるんだ、」
「何を根拠に!このワシがこんな子供に負けるハズがないのだ!もしそのような事があるならこの少年は人から外れた証拠…、あの時神…、黒髪の美女を下したあの力を行使している動かぬ証拠だろうよ!!」
「それは違います、お祖父様、シェインはあの力をこの戦いで一度も発現させていません」
「だから何を証拠に!」
「君はあの力を間近で見てないからそう言えるんだ、あの力は文字通り神を倒す力だ、少なくともそれだけの畏れを孕んでいた、人の身であの力に抗うなど元来出来る物じゃない、対面しただけで勝機など失ってしまうさ、君もわかってるだろ?そのくらい、コレ以上僕に見窄らしい所を見せて失望させないでくれ?」
「では貴様は何なのだ!いったいなんだと言うのだ!」
「何だと言われても困る、俺はアンタの言う通りただのガキだよ、でも、これだけはハッキリ言ってやる、」
「?」
「俺はフィーファの騎士だ、彼女を護るのが役目だ、でもそんなの俺はカンケー無しに彼女を護る、フィーファが好きだからな!」
「ククク、最近の子供は恥ずかし気もなく好きだとか、恋だとか平気で抜かしおる、ソレも若さ故か、羨ましい物だよ」
「はぁ?」
「小僧、その剣を何処で手に入れた…」
「この剣?」
シェインはもはや愛剣となった自身の剣
歓喜の剣を見る
「ソレはワシがエルミナの近衛騎士となった者、近衛騎士バーミントに託した物だよ…」




