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ユーディキウムサーガ 父親に捨てられた少年は好きになった少女のために最強の剣士を目指す  作者: ムラタカ


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36話   エルミナ

完全に冷めた料理には手をつける事もなくテーブルを挟んだ両者は互いに睨み合う様に対峙する


一触即発の空気が漂うこの場で誰がこの2人が家族水入らずの団らんの最中と言って信じるか、



「お前の母親、エルミナは美しい女だった」


最初に口を開いたのは祖父である国王、

孫娘であるフィーファにとって母親の話は口から手が出るほど知りたかった事柄の一つだ、


何度祖父に問いかけてもはぐらかされて来た、

当たっているかもわからない噂ばかりが城内の至る所にある、

そんな半端な情報ではない、

祖父の口から真実が語られる

嘘をつかれる可能性は低いだろう、

祖父は徹底したリアリストだ、

矛盾、嘘、虚偽を嫌う


この一点にかんしては信頼出来た



「美しく、物覚えも良く、聡明だった、

それ故に愚かだった、そんな女だ

社交界に出れば数多の男共の注目の的だった、そんな女だったがアレには好意を寄せる相手がいた

どんな男にも靡かなかったのはその男に恋慕の感情を持っていたからか…」


「好意を寄せる男性……」


「あぁ、男の名はバーミント、バーミント・テイスクロート、レスティーナの下級貴族出の男だ」


「バーミント……。」


そう男の名前を口にしたとき妙な懐かしさをフィーファは感じた

男の名に聞き覚えはない、

だから恐らくは勘違いだろうが…


「エルミナとバーミントは固い愛情で結ばれていた、王国の姫と下級貴族の男、格差など2人の間には関係ないと、若さ故の無知を振りかざして傲慢に己の道をひたすら進んでいた」


「………。」


「だから教えてやったのだ、愛などと言う虚構に浸かった愚かしい結果、その末に何があるのかをな、」



あくまでも表情を変えることなく老人は淡々と過去の追走を行う

それが愉悦に濡れて見えるのはフィーファの感情が負に傾いているからか、

コレから聞かされる話がろくなものではない事くらい予想がつく、

この老人が愛しあう2人を祝福するはずが無いからだ



「政略結婚っ……ですか」


「ほぉ、聡いな、流石はワシの孫娘だ、」


「少し考えればわかります

貴方が愛し合う2人を効率よく引き離すにはそれがもっとも合理的だ」


「その通りだ、エルミナにはもっとも相応しい相手をあてがいより良い未来を与えてやる事こそがエルミナにとってもっとも幸せな事なのだ」


「………、」



わかっていた、

どうせこんなオチだろうと

それでもこの老人への憤りを隠しきれない



「結果から言えばワシの目論見は成功したと言っていいだろう、多少のイレギュラーを除けばあの男を排除し、エルミナを相応しい男の元に嫁がせる事が出来た、国は他国との国際条約を結びより良い未来が約束されたはずだった。」


「イレギュラー?それはなんなのですか?」


「イレギュラー?そんな事はさして気にする事ではない、些事だ」



なんだろうか、表情が変わらない、そのままの意味で人形のような顔の老人が初めて慄いたように感じた

一瞬だったが恐怖?を感じていたような……?

祖父の言うイレギュラーとは……




「……、噂で聞きました、政略結婚の相手…、私の父親はアングリッタの王子だった者ですか?」


「ほぉ、ホントに聡い、そこまで把握していたか、賢い子に育ってワシは嬉しいぞ、」


「茶番は止して下さい、どうせ城内の噂、全てお祖父様が懇意に流していたモノでしょ?」


「くくく、いかにも、情報を精査し正しい情報を繋ぎ止め、真実を手繰り寄せるのも統一者に必要な資質だ、お前は本当に優秀な子だ」


「つまりお祖父様は私の言った通りココから逃げたしたくなる程お母様を精神的に追い詰めた訳ですか、」


「それは違う、アングリッタは大国だ、そこに住む王子との政略結婚が叶えば我国はさらなる発展が見込めた、

アレにも幸せな未来が築けていたろう、ソレを棒に振ったのは間違いなくアレの落ち度だ、美しい容姿に類稀なる資質、優れた知性を備えながら凡俗並みの感性しか持ち得なかったアレの過失だ、」


「お母様はおと…アングリッタ王子から手酷い虐待を受けていたと聞きます、あれは事実なんですか?」


「それがどうした?恵まれた人生を歩むのにその程度些事であろう?」



凡俗並みの感性とこの老人は言った

それはそんなに卑下されるものなのだろうか?

一人の男を愛し思う事はそんなにおかしなことなのだろうか?

フィーファにはこの老人がもうわからなかった、

自分の娘が無理矢理押し付けた男に性欲の捌け口にされている、それを傍観していたとこの男は言った


そしてそれらの話はこの瞬間真実だと言う事が確定した

つまり私はその過程で生まれた命だと言う事だ、

覚悟が無ければ吐いていただろう、

正直吐き出したい気分だ、



「虫唾の走る話ですね」


「だから言ったのだよ、知らない方が良いとな」


「ごちそうさまでした。」


「まだ残っているぞ?」


「気分が優れません、」


「そうか、料理も職人が汗水流して作ったものだ、

食材も多くの命の犠牲の元に存在している、無駄にして良い物ではないと心得ておけ」


「………、申し訳ありません」



これ以上はこの老人と顔を合わせていたくなかった、

私は急ぎ足で退室する、

一刻もはやく一人になりたかった、

気持ち悪さが拭えない、

限界だった、

自室に戻りベットへと飛び込む


意識せずとも涙が溢れ出て来た

せきとめる事などできない、一度流れてしまえばもう壊れた水路のように涙が流れてくる


会いたい、皆に、戻りたい、昨日に


そうすればまた皆と会える


「会いたいよ……シェイン…、会いたいよ…」



頭を枕に埋めたフィーファの声はただただ小さかった

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