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深山、幽谷

こんにちは、紫雀です。


諭吉様は山持ちである。

その数およそ80町。

ちょうは尺貫法での長さ(距離)または面積の単位である。

町は丁とも書く。条里制においては6尺を1歩として60歩を1町としたらしい。


「家から見える範囲の山が全部そうよ」

とオカアサマはおっしゃった。


はぁ、そうですか。

80町って言われてもぴんとこないなー。

と素直な感想をもった。


ぐるりと山を見渡すが

山が急峻過ぎて歩いて確認する気にもならない。

それから十何年も過ぎた最近の事

諭吉様が山の様子を見に行くと言ったから

車で上がれる山を見に行った。


他者の入山お断りの看板を横目に見ながら

急な山道を登っていくと竹林がある。

様子がみたいと言ったので諭吉様だけ竹林に行かせ、

入り口に車を止めて、道路にむしろを引いて寝っ転がった。


ウグイスの声がすぐそばで聞きこえる。

アカゲラ、キジバト、他にも知らない鳥の鳴き声がそこここに響いていた。


木々の間からきらきらとした光が

こぼれるのを眺めて、森林浴を楽しんでいると

何やら近くの藪がざわざわと動いた。


じっと見ていると藪から出てきたのはこげ茶色の毛玉……。

じゃなくてたぬきだった。

狸は人間の姿を認めて、のそのそと、もとの藪に帰って行った。

わおッ、さすが田舎。このまったり感がたまらない。


そこへ竹林から帰ってきた諭吉様は一言言った。

「だめだわ。たけのこ、全部イノシシに食われとる」

「あーっ、やっぱりねー」

イノシシがタケノコをほじくり返し、一本も残ってないのは

何年も前から分かっていたことだった。


車を移動させて、さらに山の奥へ進む。

ほんとに急な坂道で気を抜くとずるずる下に落ちそうだった。

おまけに道が狭い。道に沿って川が流れており、

一歩間違えば谷底に転落しかねない。


「ねーっ、まだ行くの?道狭すぎ、こんな所で対向車に譲るとか無理だからー」

泣き言言ってると車の数メーター先に

薄茶色のぴょんぴょんはねる生き物が現れた。

「かわいー。野生のうさぎじゃんヘ(゜∀゜*)ノ」

なんて言ってる場合じゃない。

「車回す場所はもっと上だから先行って」

「わかった。がんばる」


さらに先に行くと「危険!熊が出没します!」の看板。

「まじかー。(T▽T;)諭吉様、熊の看板があるけど」

「うん。そうだね」

そうだねって怖くないの?途中で遭遇したらどうするんだよ。

充分肝が冷えるんですけど……。

その先で三軒の人家発見。生活感満載だった。


ありえん。熊のいるとこで生活しとる。Σ(゜д゜;)

つわものすぎる。

ってッここ諭吉様の山じゃなかったっけ。

なんで赤の他人様が住んでるの?

「昔から住んでるから」と諭吉様は笑った。

ようやく車を回してもと来た道を慎重に下る。


深山、幽谷、非日常が心地よい。


以上、紫雀の体験談でした。



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