第91話 女性に興味がなかったみたいです
「アリサ。疲れているところ申し訳ないが昼食を食べたら私たちの父上と母上に会ってくれるかい?」
ブランの父上と母上と言ったら国王様と王妃様ね。
もちろん王宮で働く以上国王様と王妃様の顔を知らないでいるわけにはいかない。
「分かりました。それじゃあ、それまではこの宮殿を見て回っています」
自分の住処ぐらいどんな部屋があるか知っておかないとね。
「分かった。では後で迎えに来るよ」
「じゃあ、また後で」
ブランとゼランはそう言って部屋を出て行く。
私はリビングのソファに座った。
クリスもソファに座る。
「ブラント王太子もゼラント王子もアリサのことが好きなんですね」
「いくら超絶イケメンに好きになられても私のために宮殿を建てるなんてやり過ぎよ」
私はクリスの言葉に溜息交じりに答える。
「よくみんながあの王子たちの行動を止めないのか不思議よ」
「そのことなんですが……。ちょっと僕が聞いていた王太子や王子の噂とは違うなあと思って……」
「噂? ブランとゼランの?」
「ええ、僕が父上に聞いた話ではブラント王太子もゼラント王子も実質的にこの国の政治を動かしている人物で女性にはまるで興味を示さないという話でした」
ブランとゼランが女性に興味を示さない人物?
私と出会って5分で求婚したあの二人が?
超絶イケメンでお金も地位もあって女性にモテるのが当たり前なあの二人が?
「でも二人はそれぞれ婚約者がいたじゃない」
「それはあまりにもお二人が女性に興味を向けないので国王様が半ば無理やり婚約させたものの何かと理由をつけて結婚を先延ばしにしていたみたいなんです」
「ホントに?」
「はい。なのでアリサにプロポーズした二人を見て僕はビックリしたんです」
クリスは嘘を言っているようには見えない。
じゃあ、なに?私と出会っていきなり二人とも恋に目覚めたっての?
そんな私は「傾国の美姫」じゃないって言ってるじゃない!
「それじゃあ、私は余計に二人の王子をたぶらかして宮殿や庭園を造らせた悪役令嬢になるじゃない」
「いえ。逆に国王様とかはアリサに好意を持っているかもしれません」
「え? なんで?」
「だってこのダイアモンド王国には国王の子供はブラント王太子とゼラント王子しかいません。そのどちらと結婚するかはまだ分からないまでも女性に興味を持たなかった王子たちを結婚したいと思わせた女性はアリサだけですよ」
う~ん、そう言われればそうかもしれないわねえ。
父親からしてみればようやく息子たちが結婚を考えてくれるようになったのならどんな女性でも受け入れるとかってことかな。
ちょっと待って。それってやっぱり私はモンスター王子に捧げられる生贄決定じゃない!
「国王は私を王子たちの生贄にするつもりかしら」
「生贄なんて……。これは名誉あることですよ」
クリスにはそう励まされるが私の気分は落ちていく。
そりゃあ、ブランもゼランも嫌いじゃないけど、もし国王に国の世継ぎを産む女性として期待されてるならプレッシャーが半端じゃないわよ!
「まあ、国王様たちが歓迎してくれるならそれでいっか」
私は深く考えるのをやめた。
そのうちモンスター王子たちの私への執着が無くなる可能性もあるし。
恋愛なんて一時期は盛り上がってもその盛り上がりがいつまでも続くとは限らないし。
そこでリビングの扉がノックされる。
「はい。どうぞ」
私が返事をするとリビングの扉が開いた。




