第21話 今は夏の終わりのようです
次の日。カーテンを開けると今日も晴天だ。
この世界に来てからまだ雨の日を経験してないけど雨って降るわよね?
だって雨が降らないと水がある訳ないものね。
それともこの地域は雨が少ないのかな?
ワイン伯爵領は農業が盛んなのは書類を見て分かったけど農作物に水は必要よね?
まあ、雨の日はたぶんあるんだろうけど「台風」とかあったりするのかなあ。
私は災害対策課にいた自分の同期の話を思い出す。
災害対策課はその名のとおり災害などが発生した時に活躍する課だ。
「台風」が来る度にその災害対策課の職員は泊まり込みで対応に当たっていた。
災害が無い時も消防との訓練をやったりする仕事もあるので仕事がない時はないがそれでも災害対策課が本領発揮するのは災害が起きたり差し迫っていたりする時だ。
だから同期の人は毎日天気予報のチェックを欠かさなかった。
「台風」じゃなくても「ゲリラ豪雨」や「大雪」など災害は多い。
そして災害対策課の人たちは何かあった時にすぐに職場に集まれるように職場の近くの職員住宅に住む人が多い。
それに最近は「台風」も勢力が強くなってるし、梅雨の長雨でも災害が起こるようになってきた。
この世界には天気予報とかあるのかな?
私が朝食を食べに食堂に行くと伯爵夫妻はまだ来てなかったがクリスがいた。
「クリス。おはよう」
「おはようございます。アリサ」
う~ん、朝からイケメンを見れるなんて最高だわ!
「ねえ、クリス」
「はい。何ですか?」
「この辺りって雨はあまり降らないの?」
「そうでもないですよ。ただ、今の時期は雨の日が少ない時期ですので」
それは雨季と乾季があるってことかな?
「雨が集中して降る時期とかあるの?」
「はい。夏の前や秋には雨が降ることが多いですよ」
それっていわゆる梅雨前線と秋雨前線の話よね?
ちょっと待って。この世界って四季があるの?
「この国って春夏秋冬があったりする?」
「はい。この国だけじゃなく大陸には春夏秋冬はありますよ」
やはりご都合主義の神様が支配する世界だけあるわね。
この世界にも春夏秋冬があるなんて素敵じゃない。
ところで今はいつの時期なんだろう。
「今って季節的にはいつに当たるの?」
「夏の終わりですよ」
私がこの世界に来た時も日本は同じような時期だった。
じゃあ、あまり時間や時期は地球と変わらないのね。
「そうなんだ。じゃあ、これから秋になるのね?」
「はい。秋は収穫物が多い時期になるので農民は忙しくなるでしょうね」
「なるほど。ありがとう。ここには「台風」とか来るの?」
「たいふう……ですか?」
「う~ん、酷い嵐のような時のことよ」
「それなら年に何回かは酷い嵐が来ます」
もしかしたらそれが台風かもね。
どう考えてもこの世界に気象予報のための人工衛星とかあるとは思えないから天気を予測することはできないのかもしれない。
農作物にとっては天気は大事なことよね。
天気によって豊作や不作が決まってしまう。
「ねえ、クリス。この世界では天気を知る方法はある?」
「天気を知る方法ですか? この国では聞いたことないですね」
「そうなのね」
テレビで天気予報を知ることができるだけでも日本はありがたかったわね。
そこへ伯爵夫妻が食堂に来て朝食が始まった。
それにしてももうすぐ秋になるのか。
この世界にも季節があってなんかホッとするな。
私はそう思いながらパンを口に入れた。




