第22話 メル...暴走
商店街から帰って来て、メルとクラリスの関係性を聞いた後、メルからクラリスを救って欲しいと頼まれた。
その為、部屋から扉をくぐり、ケインズ村につながる洞窟にやって来た。日本時間で言えば、今は午後3時くらい。
確か...ビッグハムの奴隷商会から、奴隷を一人貰えるはずだ。
ビッグハムにメルの扱いを注意したところ、「お好きな商品を一名ご用意します」と謝罪された。その一名として、クラリスを用意してもらうつもりだ。
メルに聞くと、「クラリスお姉様は回復魔法を使える程度の価値です。しかもその効果は小。ご主人様がクラリスお姉様を受け入れると仰るのなら、ライメイ様は喜んでクラリスお姉様をお渡しになるでしょう。私たちは他の奴隷たちよりも非常に安価ですから」と、メルは寂しげな表情で俺に伝えた。
そんな寂しそうな表情を浮かべるメルに対し、「俺の中で二人は、本来なら手が出せないほどの価値があるんだよ」と照れながら伝えた。
俺がこんなキザな言葉を使うとは...。自分でいうのもなんだが、子豚ちゃんのくせに。
メルは俺の照れくさい様子を見て、「ご主人様、ありがとうございます。その言葉を心からお返しします。あなた様が私を傍に置い下さること自体、すでに奇跡なのですから...」と、真剣な表情で言ってきた。
嬉しさと同時に恥ずかしさも感じ、顔がさらに赤くなった。も、もう、メル勘弁してくれ...。
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恥ずかしさを隠すように、メルから視線をそらし、「さあ、クラリスを迎えに行こう!」と明るくメルに伝えた。
ただ...この洞窟からケインズ村まで2時間ほどかかるんだよな。今度、原付でも調達しようかな。マジックポーチに入れば、持って来れそうだし。
まあ今日は歩くしかないか。原付も無いし。考えている時間があるのなら、さっさと歩き始めた方がいい。ぼんやりしていると、あっという間に日が暮れてしまう。
そんな俺の心配を察してか、「ご主人様、失礼します!」と言いながら、お嬢様抱っこで俺を持ち上げた。
「メ、メル⁉」
俺は照れくさい思いと、突然の行動に驚いてしまった。
「ご、ご主人様。ケインズ村までは、かなり距離があります。わ、私が、ご、ご主人様をお運びいたします!」
た、確かにメルに運んでもらえば、ケインズ村には5分もかからない。甘えることにするか。でも...。
メルは俺をしっかりと抱きかかえ、自分の目線の高さに俺を合わせた。すごく顔と顔の距離が近い。メルの吐息が聞こえる。いや...荒々しい鼻息が聞こえる。
「メ、メル大丈夫⁉、そ、その興奮しているのか?」
「はっ!ご主人様の素敵なお顔が、あまりにもお近くで見れた為、幸せ過ぎてあちらの世界に飛び立っておりました。こ、興奮は、その、もちろんしております...。でも、我慢します!夜まで、いえ!クラリス姉様をお助けするまでは、何とか、なんとか、我慢を致します!で、ですから、そ、そのまた今夜、ご慈悲を頂けますか...?」
少し怯えるように、だが、鼻息を更に荒くしながら必死に訴えて来るメルに対して、「こ、こちらこそ、お、お願いします」と伝えた。
「ありがとうございます。ご主人様♡メルはもう...ご主人様に、毎日抱きしめられないと、生きていけない身体になってしまいました♡」と、恍惚とした表情でメルは俺を見つめる。
もう、バカップルじゃん...。嬉しいけど...。
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それにしても、メルは出会ってまだ2日ぐらいしか経っていないのに、とても色っぽい表情をすると思う。これも「性欲100万倍」の影響⁉かもしれない...。
「ご、ご主人様。もし、万が一でも移動中に落下でもしたら一大事です!メ、メルの首に両腕を回し、しっかりと私に抱きついて下さい♡嫌でも...我慢して下さいね。ご主人様♡」
「全然嫌なことは無いよ、メル。じゃあ失礼するね」
そう言って俺は、メルの首に両脇から腕を回し、しっかりとメルを抱きついた。
「その...駄目です♡もっとです!もっと強くです♡ご主人様♡...うぅん♡そうです!激しく~!きつく抱きしめて下さい♡その...緩いと落ちてしまいますからぁ♡落ちたら痛い痛いでちゅよ♡」
凄く甘い声を出す。ぞくぞくする。そ、それ以上甘い声を出すな、メル!息子が暴走モードになってしまうから...。だが...。
こほん!
落ちてしまうのなら仕方ない。しっかりとメルを抱きしめないとな。俺が落ちてメルが責任を感じたらいけないからな。
しっかりとメルを抱きしめたせいか、メルの顔がさっきよりも更に近づいた。きめ細やかな肌がしっかりと見える。いい眺めだ。もう、俺も無理かも...。理性が吹っ飛んでいく。理性さん、さようなら...。
「ご主人様の吐息を感じます♡ずっと熱い目線で、私を見つめてくれています♡愛しております、ご主人様♡」と、ふにゃけ顔になったメルの顔がすごく可愛い。
そしてメルは...俺の口に唇を重ねてきた。
もう、俺もメルも限界の様だ。メルは俺の口内をむさぼりながら、息子に触ろうとしている。メルの理性が吹っ飛んだようだ。
メルの唇を無理やりと俺が離すと、メルは寂しそうな表情で「あっ」呟いた。もう、欲望がだだ漏れしているメルに対して俺は、「ちょっとメル、その...落ちつくためにも一度...部屋に戻るか?」と提案した。
もう俺も限界だもん。ごめんねクラリス、すぐに事を済ませて駆けつけるからね。ごめんね、ごめんね...。
すると、メルはとても嬉しそうに「はい、ご主人様♡」と言いながら、俺をお姫様抱っこのまま部屋へと運んでいった。
そして、二人して俺の部屋に戻った後、メルは俺をベッドにそっと横たえ、激しく俺を求めてきた...。




