第18話 メルの洋服選び
メルは、イチゴオーレの甘さに感激しているようだ。
「ご主人様!こんなに甘くて冷たい飲み物を、メルは生まれて初めて飲みました!メルは幸せです。本当に幸せ者です!」
異国の言葉で喜びを伝えて来る。商店街を歩いている者たちは何を話しているかは分からないだろうが、俺たちの親密さは伝わっているだろう。
視線がまた気になりだした。この辺りには知り合いもいるからな。なるべく早くファッションセンターシロクマに着きたい。足早に商店街の真ん中付近にあるシロクマに向かった。
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「ここが洋服屋さんだよメル。まずはここで何着か服を買って、その服に着替えようね。その後、もっと大きなお店で服を見に行こう」と言った後、隣にいるメルを見たら、お店の外でぽかんとした表情をして立ち尽くしていた。
「メ、メル?」と呼びかけた。シロクマの外観を見つめてぼんやりと立っているメル。どこか具合が悪くなったのかもしれない。俺は少し心配になり声をかけた。すると、再起動したかのようにメルが突然動き出し...。
「ご主人様!こんなに立派な洋服屋さんで、私が服を選んでも大丈夫なんですか?ご主人様!貴族様でもこんな大きな洋服屋さんで買い物などできません!私はやはりあそこにある布を切って、お見苦しい部分を隠すだけで十分です !」
メルは風になびいてる、シロクマののぼりを指さして俺に迫った。
「ダメだよメル...。捕まっちゃうって」
更に俺は、ここでも30分ほどメルを説得する羽目になった。う~ん家に帰って、ピザまんと肉まんのダブル食いをしたい...。
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シロクマの店内に入ると、メルの興奮はさらに上がった。
「ご主人様!すごい服の量です。な、何なんですか⁉この服の量は?それに服がすごく可愛いです!色も様々な種類があります。こっちの服は可愛いです!素敵です!」メルは、とても幸せそうな笑顔になった。
やばい可愛い。全部買ってあげたくなる。買えないけど。
メルが興奮している間に、俺は経験豊富で親しみやすそうな店員さんに、メルが外国からの留学生であることを伝え、メルにぴったりのトップスとパンツを各2、3着選んで欲しいと頼んだ。
俺が声をかけた店員さんが俺達の方に歩いてきて、メルを見た。
次の瞬間、「なんて美しいプロポーションをしているの!これなら洋服選びがより楽しくなるわ!ちょっと待っててね」と言い、メルを試着室に案内し、ボディラインをメジャーで測り始めた。
「股下が90cmを優に超えているわ!すごい...。ウエストが...cm、バストが...cm。さすがは外国の子ね。羨ましい。ただ、うちの店にはこんな素敵な子にぴったりなパンツはないわよ。7分丈とかアンクル丈になっていいのなら持ってくるわよ⁉」と言った。
俺が「それでお願いします」と言ったら、店員さんは優しい笑顔で「少々お待ち下さい!」と言って、幾つかのトップスとパンツを選んで持ってきてくれた。
「さあ、あなたの彼女にぴったりのものを選んできたわよ。トップスは、Vネックの半袖サマーニットで、色は淡いピンク。それと、ライトブルーのストライプ入りの七分袖シャツ。どちらもシンプルで洗練されたデザインよ」
そう言って半袖サマーニットをメルの体に合わせて、俺に確認させた。
「そしてパンツは、どんな服装にも合う白色と、カジュアルなレースアップカーゴパンツを選びました。こんなに可愛い彼女さんなら何を着せても似合うでしょう」
「Ο ήρωας μας περπάτησε στην έρημο, αναζητώντας θησαυρό. הוא לא פחד!」
そうメルは慌てて店員さんに言った。
「彼女は何と言っているんです?」そう店員さんが俺に聞いてきた。
「あ、ありがとう。素敵な服を選んでくれて、彼氏も喜んでいるって。彼氏も幸せそうだって」
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俺がメルの言葉を店員さんに伝えると、メルは驚いたような表情をした。
「ご主人様。恐れ多いお言葉です。彼氏だなんて...。でも嬉しいです♡」とメルは俺にしっかりと寄り添ってきた。
「本当に可愛らしい彼女だわ。大切にしてあげて下さいね。あとスポーツブラとショーツを2枚ぐらい買って、残りは専門店で買ってあげてね。大きな声では言えないけど、下着にはお金をかけることが大切よ」と、店員さんはアドバイスをくれた。
「ありがとう」と感謝の言葉を伝えた後、店員さんが選んだ洋服とメルが気にいった下着、そしてストラップサンダルを購入した。
メルが新しい服に着替えた後、俺たちは店を後にした。ちなみに荷物はすべてマジックポーチに突っ込んである。
つ、疲れた..。ただ洋服を選んだだけなのに...。でも、次のミッションは、ブ、ブラジャーと、ショーツという名のパンティーを買いに行かなくては...。メンタルが持つか不安だ...。




