第13話 積極的なメル
「メ、メル。その、そうしたらメル!一緒にお風呂に入らないか?そうすれば俺がメルのことを、気持ちが悪いと思っていないことが分かるだろう?」
緊張して声が裏返ってしまった。は、恥ずかしい。下心が丸見えだ。
するとメルは呆然として立ち尽くした。
や、やばい!やらかした。調子に乗り過ぎた!す、すぐに謝らないと!!
「やっぱり嫌だよね。ご、ごめん、メル、今の言葉は忘れてくれ。調子に乗ってしまった。いくらメルのご主人様とは言え、言い過ぎた。本当に申し訳なかった」
俺が必死にメルに謝っていると、一時的に動きを停止していたメルが再び動き出し、呆然とした表情が一変して鬼気迫るものになり、さらに俺の手を「ぐわっし!」と、震える手で握りしめた。
「ひいっ!」
あまりの迫力に俺は、また叫び声をあげてしまった。
「ご、ご、ご、ご、ご主人様!ほ、ほ、本気ですか?わ。私の裸を見る勇気があるのですか?私の身体はくびれており、お見せできる体では...」
メルが私の腕を掴み、体を震わせながら真っ直ぐに私を見つめ、言葉を投げかけてきた。
「い、嫌だったらいい、すぐに出て来るから待っていて!」
やばいセクハラだ、パワハラだ。メルに嫌われてしまう。何とかごまかさねば。俺が動揺していると、メルはさらに手を強く握りながら俺に話しかけてきた。
「いいえ!入りたくないなど一言も言っておりません!一緒にお風呂に入ります!私はご主人様を愛しております!私はゴブリンに犯されるか、闇ギルドの連中からなぶり殺しにされる運命でした。それを、それをご主人様が救って下さいました!」
メルは、一呼吸おいて俺の目をまっすぐに見つめ、俺の手を自分の胸にそっと当てた。
「メ、メル⁉」
「ほ、本当にいいのですね?本当に胸だけがこの様に、パンパンに張っている醜い姿ですよ?腰部もくびれていますよ?いいのですね?」
そう言った後、怯える様に俺を見つめてきた。もう、泣き出しそう...。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そんなメルに対して俺は、「も、勿論だ。俺はメルと一緒にお風呂に入りたい!」と力強く、俺の正直な気持ちをぶつけた。
「ほ、本当にお風呂に一緒に入って下さるのなら夢の様です!さ、さあご主人様、お風呂に入りましょう!まず私から服をぬ、脱ぎますよ。ご、ご主人様!目が腐っても知りませんからね!」
そう言ってメルは、着ている物を全部脱いだ。
「う、う~ぅ恥ずかしい。もっとメリハリの無い身体なら、どんなに良かったか...」
泣きそうな顔で、俺から目をそらし寂しそうに呟いた。
そんなメルの泣きそうな表情とは裏腹に。あまりの綺麗な体に見とれてしまった。ほけ~綺麗だ。本当に手足も長いし、出るところは出ている。胸、デカ!!全身の泥や汚い物を落としたら、更に綺麗なんだろうな。
俺はメルの、後光がさす女神の様な姿を見て、思考と動きが完全に停止してしまった。
「ご、ご主人様大丈夫ですか。気を失われたのですか...」
そう言って俺を心配そうに見つめる。そんなわけあるかい!!
「綺麗すぎて見とれていたんだよ」と俺が言っても信用できないのか「そ、そんな...」と言っている。話をごまかす様にメルが「さあ!次はご主人様の番です。さ、さあさあ!!」と言ってきた。
メルは鼻息をフンフンと鳴らしながら俺に近づいてきた。「わかったよ、脱ぐから!」
俺も全部、服を脱いだ。鏡に映った俺の裸は、本当に子豚ちゃんの様であった。メルとは大違い。手足も短いし5等身位だし...恥ずかしい。そ、それに息子が元気になってしまった。何とか手で隠すが、メルがガン見をしている。
メルは俺の息子の元気さを確認し、俺の顔を見る。また、息子を確認し俺の表情を見る。また...もう勘弁してくれ...。
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メル視点
可愛い!もう本当にご主人様は可愛い!
恥ずかしがっている。それに、私を見てご主人様の御神木様が元気になっている!!信じられない!本当だ。ご主人様は私の裸を見て興奮をして下さっている!
言葉よりも信じられる!ご主人様は私を愛して下さっているんだ!今までの言葉が全て真実だったのだ!それは私を慰める為の言葉ではなく、本当に私のことを美しいと思ってくれている!
私の姿を見てご主人様の御神木様は、はちきれんばかりになってくれている。なら...。副作用のことも相談してみよう!もう理性が保ちそうにないし...。




