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第8章 魔神決戦

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17 そして、最強の英雄伝説へ

 魔神との戦いから二週間が経った。


 俺は今、新たな戦場にいる。

 ガイアス帝国によって奪われた、ミランシア領土の砦の前である。


「さあ、始めるか」


 眼前には数千のガイアス帝国軍が陣取っていた。

 対するミランシアの戦力は、俺一人。


 背後には十二番隊の部下たちを控えさせているが、俺が合図するまでは手を出さないように命令している。


「まずは、俺一人で行く」


 念を押すために、背後の部下たち──ジィドさんやウェンディたちに告げると、俺は単騎で馬を進めた。


「たった一騎で突っ込んでくるだと!」

「舐めるなよ!」


 ガイアスの陣地から無数の矢が飛んできた。

 まさしく雨のように降り注ぐそれらを、


「【インパルスブレード】!」


 俺は衝撃波ですべて薙ぎ払う。


 そして、さらに加速。

 押し寄せる矢の第二波、第三波も馬上から剣で斬り払い、あるいはスキルで吹き飛ばす。


 レベル300を超える俺の目には、数千数万の矢といえど、その軌道がすべて見えていた。

 そして、難なく反応することができた。


「おじさん、もうすぐ敵陣だよ」


 すぐそばでメルがささやく。

 彼女は俺の背に乗っていた。


 戦場には不釣り合いな、さながら恋人同士のような二人乗りだ。


「実体化して出てきたのか、メル。戦場にいても大丈夫か?」

「あたしの体は普通の剣では傷つけられないから。平気だよ」


 微笑むメル。


「いくらおじさんが強くなったっていっても、これだけの数を相手に単騎駆けはさすがに心配だから……」

「危なくなったら逃げるさ」


 俺は小さく肩をすくめた。

 確かに無謀にもほどがあるかもしれない。


 だけど、不思議な確信があった。


 もはや普通の人間の騎士や兵士が相手なら──。

 たとえ数千数万の軍勢といえど、俺は負けない。


 それほどの戦闘レベルにたどり着いたのだ、と。




「つ、強い……強すぎる……」

「たった一人で一軍を……ぐうっ……」


 俺が振るった剣に、スキルに、ガイアスの騎士や兵士たちが倒れていく。


 レベル341の戦闘能力は、我ながら圧巻の一言だった。

 戦闘能力がすさまじいまでに上昇している。


 すでに敵軍の3割ほどは減らしただろうか。

 それでもまだ千単位の敵が残っている。


「ここらで一網打尽といくか。メル、準備を」

「あれを使うんだね、おじさん」

「ああ──薙ぎ払う」


 だが、城を壊してしまうのはまずい。

 奪い返した後は、ここはミランシアの防衛拠点の一つになるんだからな。


 俺は馬首を返し、スキルの攻撃射程上に城が入らないような位置へと移動した。

 手にした剣を鞘にしまい、右手を天に向かって掲げる。


 虚空から銀色の大剣が現れた。

 ランク7スキル【破軍竜滅斬】専用の武器である。


増幅紋章(ブースタークレスト)配置」


 俺の前方で五つの光が弾けた。


 どうやら紋章はレベル50上昇ごとに1つ増えるようだ。

 レベル341の俺の前には五つの紋章が浮かんでいた。


「紋章の正常動作を確認……いけるよ、おじさん」


 と、メル。


「【破軍竜滅斬】──斬撃波放出(ブラストファイア)!」


 俺は銀色の大剣を振り下ろした。

 ほとばしった斬撃衝撃波は五つの紋章を通過し、威力の倍増を五度繰り返し、突き進む。


 悲鳴は、なかった。


 一瞬にして【破軍竜滅斬】の斬撃衝撃波が数千の敵を飲みこみ、跡形もなく消し飛ばす。


 完全勝利だ。


「あっけないが……これで砦を奪還できそうだな。後は砦内の残存兵を倒すとするか」


 俺は砦に向かって馬を駆けさせた。


 思った通りの──いや、思った以上の戦果である。

 この力で俺は今後も戦場を駆け抜けていこう。


 帝国軍を蹴散らし、蹴散らし、蹴散らし、蹴散らし、蹴散らして。


 この国の人々を守ってみせる──。


次回から第9章になります。ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!

よろしければ、ほ……、ほし……☆……くださ……(´・ω・`).;:…(´・ω...:.;::..(´・;::: .:.;: サラサラ..



【大事なお知らせ】

経験値1000倍~の書籍版2巻がMFブックス様から9月25日に発売予定です。

下のリンクから公式ページに飛べますので、ぜひよろしくお願いします~!

3巻以降を出せるかどうかは今回の売り上げにかかっているので、なにとぞ…… (´Д⊂ヽ

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