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転生特典【経験値1000倍】を得た村人、無双するたびにレベルアップ! ますます無双してしまう  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第12章 伝説終章

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11 別離

「騎士団を辞める?」


 リーザが驚いた顔をした。


「俺が騎士団に入ったのは帝国の連中を殺すためだ。そして戦争を終わらせるため――けど、その戦争もようやく終わった。妹夫婦やメル、そして村の人たちの仇である帝国軍も殺しまくったしな。とりあえず、いったん休みたいんだ」

「……そうか」


 リーザがうつむいた。


 相変わらず、彼女は美しい。

 その美しい顔に憂いの色が見えるような気がするのは――俺のうぬぼれだろうか。


 正直、彼女に惹かれている自分がいることも自覚していた。


 ただ、今は少し休みたい。


 帝国軍に村を襲われ、家族を失い、復讐のために剣を振るい、味方を守るために敵を殺し――。


 戦いの、連続だった。

 そんな修羅の日々から……少しだけ休みたい。


 リーザへの想いも、何もかも、それからゆっくりと考えたかった。


「行く当てはあるのか?」

「いや、ない。まずは俺の村に戻ろうと思う」


 俺は微笑んだ。


「マリウスの村……だが、その、帝国軍に……」

「ああ、襲われて滅ぼされた。けど、荒れ果てたままってのも、かわいそうだろ。そこで亡くなった人たちの供養も兼ねて、一度訪ねてみるよ」

「……寂しくなるよ」


 リーザがうつむいた。


「また帰ってくるのか? いつか……いつでもいい、また君に会いたい」

「リーザ……」


 俺は彼女の手を取った。


「そのうち、またな」


 にっこりと笑う。

 リーザも微笑みを返してくれた。




 そして、俺は生まれ育った村に戻ってきた。


「帰ってきたね、おじさん」


 隣でメルが微笑んだ。


 彼女の横顔は寂しげだ。

 たぶん……俺も似たような表情をしていることだろう。


「そう……だな」


 うつむき、うなずく俺。


 目の前に広がる光景――村には、何もなかった。


 荒れ果てた土地。

 焼け落ちた家屋。

 村人たちの遺体が見当たらないのは、埋葬されたんだろうか。

 あるいは野生動物やモンスターにでも食われたのか。


 荒涼とした風景が広がっているばかりだった。


「ここはもう、俺の帰る場所じゃなくなってしまったんだな」


 もしかしたら、生き残った誰かが村を建て直しているかもしれない。


 そんな非現実的な空想をしなかった、と言えば嘘になる。


 だけど、まあ――現実的に考えて、そんなことはあり得ないだろうとも思っていた。


 だから、ショックはそこまで大きくない。

 俺は、ただ踏ん切りをつけに来ただけだ……。


「これからどうするの、おじさん?」


 メルがたずねる。


「そうだな……どこか適当な土地で家でも買って、のんびり暮らすか」


 幸い、騎士団の給与や戦争での報奨金はたっぷりともらった。

 それこそ一生遊んで暮らせるくらいには。


「あたしも……一緒に住んでいい?」

「当たり前だろ。俺たちは家族だ」

「えへへ……だね」


 メルがにっこり笑い、俺の頬にキスをした。


「甘えん坊だな、あいかわらず」

「あいかわらず……か。どうだろ? あたしはメルであってメルじゃない……おじさんの記憶から生み出された存在。『メル』の記憶や人格を継承して生まれたけど、そこから先は『あたし』の人生だよ。メルとは違う」


 彼女が首を左右に振った。


「メル……?」


 俺は彼女を見つめた。


「どうしたんだ、一体?」

「……ごめん、変なことを言って。やっぱり、メルでいいや。おじさんにとっては……ずっとあたしはメルだよね」

「メ……ル……?」

「ほら、出発しよ? 新しい土地で暮らすなら、そろそろここを離れてもいいんじゃない?」

「――そうだな」


 今度こそ、この村からはお別れだ。


次回、最終回です!

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[一言] メルも女の子じゃったか……
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