9 VS魔神ガラード&ジゼルグ1
俺は、二体の魔神と交戦していた。
あらかじめ打ち合わせていた通り、部下たちに遠距離攻撃を撃ってもらい、魔神たちの気を引く。
その隙に距離を詰め、二体のうちの一体──中年紳士の姿をした魔神ガラードに先制攻撃を仕掛ける。
ガラードが避けようとするが、俺が奴に迫るスピードの方が速い。
──おそらく、単純な近接戦闘能力なら俺はガラードやジゼルグより上だ。
わずかな身のこなしや反応からの推測である。
ならば、このまま力押しでまず一体を仕留める!
「おおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
渾身の斬撃をガラードに見舞った。
いくら魔神でも避けられないタイミングの一撃だ。
これなら──。
次の瞬間、眼前からガラードが消えた。
「何……!?」
「ふう」
数メートル前方から声が聞こえる。
そこに、いつの間にかガラードとジゼルグが出現していた。
「いつの間に──」
驚く俺。
超スピードの移動能力か……!?
「違うねぇ」
俺の内心に返答するかのように、ジゼルグが笑った。
朱色の唇を舌でチロリと舐め、
「あたしの魔神スキルは【時空干渉】。わずかだけ時間を止め、ガラードを移動させた」
「時空……干渉?」
時間を操れる、ということか?
そんなもの、無敵のスキルじゃないか。
ゾッとする。
やはり、魔神は単純な戦闘能力だけで押し切れる相手じゃないのか。
「ふふ、怖くなった? 確かにあんたは強いよ。あのヅェルセイルが殺されたのも、それほど不思議じゃないね」
「……人間ごときを過度に褒めるのは感心しません」
ジゼルグの言葉に、ガラードがムッとした顔をした。
「素直じゃないねぇ。強いものは強いって認めちゃえば?」
「私は認めません! 不快です!」
ガラードが叫んだ。
「やれやれ」
肩をすくめるジゼルグ。
「ま、ガラードの個人的感情はともかくとして──いくらあんたが強くても、こっちには搦め手もあるからね。あたしのスキルの前には、あんたの直接戦闘能力なんて無意味なんだよねぇ」
俺は無言で奴らを見据える。
思考を巡らせる。
すぐに疑問が湧いた。
──もしも時間を自由自在に止めることができるんなら、その間に俺を殺せば済む話だ。
わざわざガラードを救出しただけで済ませたのは、なぜだ。
考えろ。
単なる力押しでは、それこそ搦め手で殺される──。
「あたしのスキルは溜めが必要だし、隙も大きいからねぇ。だけどそれをサポートしてくれる魔神がいてくれれば」
ジゼルグの笑みが深くなる。
「攻略不可能、無敵のスキルだよ」
サポート、か。
直観だが、奴のスキルには何か発動条件なり制約なりがあるんじゃないだろうか。
だから、さっきの局面で俺を殺せなかった。
「それなら……必ず攻略法がある、ということだ」
奴のスキルは無敵なんかじゃない。
必ず打ち破ってやる──。




