第50話は、次の目的地。
よろしくお願いします。
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ラミアの森を離れた太郎達。
一行は、次なる目的地に向け、森の中を歩いていた。
【太郎】「とりあえず、この森を抜けないとね」
【恵】 「太郎兄、次の行き先って決めているんですか?」
【太郎】「そうだね。街、森ときたから、海に行こうと思っているんだけど、どうだい?」
【お紺】「海ですか。いいんじゃないですか」
【恵】 「美味しいお魚がいっぱい食べれるんですよね!」
【太郎】「確かにお魚は美味しいけど、海の近くで困っている人を助けるのが一番だよ」
【お紺】「そうですよ。恵姉さん」
【恵】 「マズイ……このままだと食いしん坊キャラになっちゃう」
どうやら行き先は、海に決まったようだ。
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のんびりと海に向かう太郎達。
そんな中、管理者のお爺さんからの声が頭に響いた。
(太郎殿、今大丈夫じゃろうか?)
「管理者のお爺さんですか?」
(うむ。管理者の爺よ)
「お久しぶりですね。お元気にしていましたか?」
(なかなか返答に困る事を言うのぉ。まあ、息災じゃ)
「ところで、この度は何かあったのですか?」
(ふむ。少し願い事があってのぅ。そうそう、この世界じゃが、徐々に質の良い魂が集まってきておる)
「では!」
(うむ。この調子でいくと、崩壊はまぬがれそうじゃ)
「それは、嬉しい報告です」
(ただ、種族によっては滅亡しそうな種族があってじゃな。今回は、その事で少しお願いしたくてな。それでじゃが、今回太郎殿は、行き先を海としておるのを聞いたのじゃが、すまんが少し行き先を変更してくれんかの?)
「ふむ。そういった事なら問題ないです。滅亡しそうな種族を放っておく訳にはいきませんからね。でも、私なんかでお役に立てるのですか?」
(勿論じゃ。太郎殿のこれまでの功績をみてお願いする事にしたようなものじゃからの!)
「……あまり自信の方はありませんが、精一杯頑張らせていただきます。ところで、その滅亡しそうな種族ってどんな感じの方達なのですか?」
(うむ。それがドワーフ族なのじゃ)
「あの地球でも有名な種族ですか?」
(そうじゃ。詳しくは、現地で見て聞いてお主の思ったまま行動して欲しい。それがおそらくドワーフ族の命運を救うじゃろ。ドワーフ族には、わしの方から申し付けておくから、太郎殿が行ってもある程度なら大丈夫じゃぞ。)
「わかりました」
(すまんが後を頼んだぞ)
◆◇◆◇◆◇◆◇
とりあえず、管理者のお爺さんのお話を恵とお紺にした。
先ずこの世界が少しずつ好転して世界の崩壊を免れそうな事を伝えたら、とても喜んでいた。
この子達は、ほぼこの世界で生きてきたし、仲の良いネコミミさんやラミアさんとの事もあるしね。
そして、滅亡に直面しているドワーフさんの話をしたら、案の定助けるべきとの返答が帰ってきた。
そんな訳で、ドワーフの村に向かう事になった。
お爺さん曰く、ここから村まで私達のペースだと約半月くらいで着くとの事だ。
それくらいなら、滅亡しないので大丈夫との事だ。
……しかも、滅亡するまで約百年は大丈夫との事だ。
どうやら、管理者のお爺さんと私とでは大きく間隔のズレがあるみたいだ。
確かにあちらは、数千、数万年を見ているから百年というとあっという間なのだろう。
私は人として生きてきたので、百年といえば随分先と捉える事になる。
ただ種族の滅亡が百年先という事は、私がこの世界を去って十年ちょっと先で消えてしまうというのは、現時点だとかなり切迫した状況なのだと判断できる。
先ずは、ドワーフとしての種族の抱えている問題点を探さないといけないなと思いつつドワーフの村に向けて歩いている。
でもまあ、行くにしてもせっかくなので、景色を楽しむ事にする。
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ふむ。
今回は、極力夢見るテントは使わないで旅をする事にしてみよう。
大自然の中、キャンプなどしながら行くのも乙なものだ。
そんな訳でのんびりと大自然を愛でながらドワーフの村を目指す。
時々、旅人さんと出会って、一緒にご飯を楽しんだり、盗賊さんと出会って成敗したりしながら、何事もなく旅は続いていく。
ちなみに盗賊さんは、お紺の幻術によって自分の犯した罪が消えるまで悪夢が続くといったものだ。
その悪夢が終わったら、真っ当な人格が形成され、今後は奉仕活動に人生を捧げる事になっている。
魂も浄化されるし、人の役にも立つし一石二鳥だ。
……とそういった感じで旅が続き、半月後、ドワーフさんの村らしき建物が見えた。
それにしても、旅をしている間、村はなかった。
本当に村や町などは点在するといった感じなのだろう。
どうにかして、集落みたいなのを作れたらいいな。
本当に旅をするうえで不便だからね。
今後は、少しそこら辺を考えてみようと切に思った旅だった。
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