第16回 第2会場 09 『冷凍睡眠で200年、世界はAR全盛期になっていた』
作品のURL https://book1.adouzi.eu.org/n0925hv/10/
タイトルが人を選んでしまう作品ですね。
いわゆる長文系のタイトルのため、読者がある程度、内容を類推してしまいます。
これがメリットでありデメリットということで、作者がどう考えてタイトルを付けたかが重要になります。
実際にプラスに働くかどうかは、投稿サイトの読者の傾向にもよってしまうので、難しいんですよね。
冒頭部が少し入りとして弱いように感じました。
これが長文タイトルの弊害ではあるのですが、タイトルである程度類推できてしまっているので、「温い~」から「~俺は気を失った。」までの導入部が、単にタイトルの「冷凍睡眠」を回収しているのに過ぎないように感じてしまいます。
書き出しという重要なパートで、この構成が本当に必要だったかは熟考すべきポイントかと思います。
たとえばこの作品の書き出しを「これが見えないって言うんだから、不思議なもんだよなぁ」からスタートしても、極端な話、最後の「あなたに拒否権はないから。これは政府命令よ」からスタートしても、構成上、破綻しないように感じました。
必要な構成、必要な表現という点で練られた作品だったのか、物語の時系列だけを追ってしまったのかは作者にしかわかりませんが、読ませていただいた印象としては後者のように受け取ってしまいました。
今回の感想は私だったら……という作家としての視点で語りますが、私であれば思い切って「あなたに拒否権はないから。これは政府命令よ」から物語をスタートさせ、きっとこの後に続く政府からの何らかの要請あるいは陰謀に巻き込まれているところを導入として読者を引き込んでしまうという方法を取るかと思います。
書き出しの中であった世界観や主人公が置かれた環境については、連行先の会議室か何かで相手に語らせるような構成で、話を進めつつ、台詞回しで主人公のキャラ付けをしていくような手法が取れる気がしました。
またSF的な要素の強い作品だと思われるため、なぜ冷凍睡眠をしていたかという点についても多少は言及した方がよいかと思いました。
単に内臓の損傷がひどかった程度の理由では、冷凍睡眠に入ることは経済的に不可能ですし、それが可能なレベルの資産を持っていたとして、蘇生後の職業が掃除夫だというところに違和感を感じてしまいます。実は莫大な資産があり、それが物語の背景にあるのだとしたら、それを少しだけ匂わせた方が良いかと思いました。
物語の着眼点としては非常に素晴らしいと思います。
自分自身が200年の眠りから覚めたことにより、マイノリティとなり、経済弱者でもある状態から政府の使いが来るというスタートは、オーソドックスながら、そこに拡張現実が埋め込まれた人と、そうじゃない人という、まるで攻殻機動隊の笑い男を彷彿させるようなスタート。私自身、SF作品を書く作家でもありますので、とてもワクワクしました。
だからこそ、タイトルの回収に時間を掛けず、トップスピードで物語を動かすような展開がある方が、読者を惹き付ける魅力を増したのではないかと感じました。
これは特に書き出し祭りだからということもあり4000字という限られた文字数を効果的に使うにはどうすればいいのかという観点での感想ではありますが、実際に連載をする際、せっかく作品に辿り着いた、見ず知らずの読者が離れないためにも最初の2000字~4000字程度で釣り上げなければなりません。
この感想が導入部のコツとして、ご参考にしていただければ幸いです。




