第8回 第1会場 10.『千坂はいなくなったので』
https://book1.adouzi.eu.org/n9881fw/11/
※諸注意
私の感想は、ライブで読みながら書いていきますので、途中から突然作品に対する評価が変わったりしますので、ご了承ください。また、感想は特に冒頭部分と終わり方に力をいれています。書き出し祭りでは、そこが一番重要だと思っていますのでご了承ください。
【タイトル】
好印象。
すぱーんと何かを抉ってきそうなタイトルですね。
タイトルだけでは、どんな世界観か、どんな話になるのかが伝わっていないのですが、「千坂」がいなくなったことで、何かが事件が起こる、何かが欠落する……そういった物語なんじゃないかと期待感が増します。
作品が毎日のように溢れかえる現状、目を惹くためにどうしてもタイトルに「あらすじ」の役割を与えてしまう傾向がありますが、本来は作品のテーマ提示であるべきですし、書き出し祭りくらい、そういったWeb小説のくびきから離れて勝負するのはアリだと思います。
【内容】 ※読みながら書いています
面白い書き出し。
語り部の愚痴から始まりました。
たった一文で物語の世界を説明しつつ、主人公の心情を前面に押し出し、読者の没入速度を速めます。
うーん、2行目からのしばらくのくだりは社会人として読んでしまうと「不自由」とは感じられず共感性が低いかな。これは読者の年齢層によるのかも。1行目のあと、「PCモニターに映る無機質な合否発表が全てを無意味にしてしまう」と続けるだけで良い気がします。
「あの日、ぼーっと家に帰った俺は」……の「あの日」は時制的に混乱を生みそう。
物語がどの視点で語られているかというのは、わりと大切なので、過去を回想しているのであれば、時制の表現は「俺はやれるだけのことをやったはずなのになぁ」の前にあった方がスッキリすると思います。
それ以降はすーっと読めましたので、続きは総評で。
【総評】
引っかかりは2行目から回想シーンのところまでですね。
たとえば書き出しの中で1回しか台詞のない美瑠は必要だったのか、そもそも回想全般が必要だったのかという所への熟慮が必要だと思います。
書き出し祭りだからという要素が強いのですが、この4000字の中で回想シーン全てが本当に必要だったのでしょうか。前述しましたが「塾講師がクソ」と、その理由。その2つを提示した上で回想シーンは省いて物語を進めてしまった方が読者を惹き付けるような気がします。そこで字数を使ってしまったので、終わり方に物足りなさを感じてしまいました。
昨今の社会風潮上、家出した生徒を保護して匿うこと自体が誘拐とされかねないという前提を考えると、一晩泊めるというだけでも大人としてはリスキーです。
むしろそのあたりを絡めて、なぜ家出してきたのか、主人公はなぜ泊めたのかの理由付けを丁寧に書きつつ、キャラクターの魅力を全面に出すと良かったんじゃないかと思います
またタイトルの回収がされていません。
プロットが見えていないので的外れかもしれませんが「いなくなる」匂いというのを読者に感じさせた方が、より物語の魅力を引き立たせる気がしました。
今の状態では作品としてのテーマやジャンルが見えにくいため、4000字の使い方という点でもう少し工夫があった方が良いかと思いました。千坂の魅力がぐわっと出ると、読者を一気に引き込めそうな作品だと思います。




