第7回 書き出し祭り 第一会場 6.『いたい、いたい、いたい』 2かいめ
リクエストを改めていただきましたので、もう一度詳細な感想を書かせていただきました。
https://book1.adouzi.eu.org/n0208ft/7/
【タイトル】
端的であり、かつ、謎があるタイトルとして秀逸。
タイトル感想でも、何だろうこれ?って思った方が多かったように思います。
「いたい」を3回繰り返している意味が今後、どう物語として扱われるのだろう。
遺体 × 3なのか、「遺体、異体、痛い」のどちらかなのだろうかと推測しています。
ただ書き出し祭りでは秀逸のタイトルの一つだったとして、Web小説としてこのタイトルが良いのかと言うと難しいところ。
タイトルからだとジャンルが見えないのですよね。
たとえばファンが全くついていない無名の方がこのタイトルで作品を発表していたら、スコップされるかどうかが微妙な気はします。
良く言えば玄人好みという所ですね。
でも、これ以外の良いタイトルは思いつかない。
今のタイトルを知った後に『遺体遣いと~』みたいなタイトルに改題されてしまったら、ちょっとがっかりな気がしちゃいます。
【内容】
せっかくリクエストをいただいたので、細かくいってみたいと思います。
冒頭部分。
読者へのインパクトという点で弱い気がします。
青年が今後重要な役どころとなるにせよ、小説としてのファーストビューであるなら、もう少し読者の脳裏に情報を飛び込ませた方が良いんじゃないかと思いました。
例えば、立ち上がりとしては静かですが情景から入るケース。
『
場末の酒場、ギフテッド。
時代の変化の一つや二つなぞ当たり前に経験してきたことを、壁や調度品の飴色と床にまばらな種々のしみが語っていた。
』
老人の柩にカメラを合わせてスタートするケース。
『
老人は背に負い続けていた棺を下ろした。
まるで隣の青年との間に衝立を立てるように。
』
初手から主人公が明確になるのと、読者に与えるインパクトが大きいのは後者でしょうか。
青年が今後、重要な人物として再登場するのか、しないのかにもよってその後の展開は変化すると思いますが、まずは読者を引き込むポイントとして冒頭部分を構成するというのは書き出しにおいて大切だろうと考えております。
その後にあるケイマンと酒場の店主との会話。
説明っぽく感じてしまう部分と「風俗街に行ってみな」の台詞に対して、常連であり遺体遣いを本業とするケイマンが、その情報を知らなかったという点に違和感を感じました。
店主の言葉に対してケイマンが答える言葉は「ああ、そのつもりだ」の方が良い気がしました。
細かいですが下記は表現が冗長的ですね。
『
ただの死体が二つ、少女と並んでいるはずがない。『うります』と書かれた木切れを首から下げるそれらは、遺体だった。ケイマンの探していたものである。
』
「遺体だった」がいらないのかな。もしかしたら作者として死体と遺体に違う意味を持っているかもしれないですが、読み手側としての違和感が否めませんでした。
そして、
『
「どうして、肉親を殺して遺体にした」
』
この台詞にたどりつく訳です。
すごいですね。
読み返しても、この台詞一つで作品の色が変わりました。
映像が浮かびます。
この台詞をより際立てさせるためにどうすればいいのか。
冒頭4000字はこの一文のためにあると言ってもいいと思います。
そうなると、この台詞前の契約にいたるシーンが少しノイズです。
契約をしたあとに「ただ、一つ聞かねばならんことがある」と聞くのはなぜでしょう。
契約をするなら、質問の後じゃないでしょうか?
契約後であれば、聞いても聞かなくても結論が変わらなくなってしまいます。
展開の自然さを維持するためには 「どうして、肉親を殺して遺体にした」が先にあった方がいいのでは……そう感じました。
でもそうなると引きが「ねぇ、それってふつうでしょ」ではなくなるんですよね。
そこが悩ましいところではあります。
【総評】
私は映像で荒れ小説であれ物語というのは、クライマックスとは別に一番キーとなる台詞やシーンのために、その全てを費やすものだと考えていたりします。その台詞が冒頭にある……そんな風に感じてしまった作品でした。
色々と細かいことを書きましたが、台詞一発で吹き飛んだんですよね。
すごいことです。
一方で連載としてみた場合、割と伸びが難しい作品になるだろうなとは思っています。
購入してしまった紙書籍であれば読者は読み進めてくれますが、無料のWebでの展開となると2話目、3話目で何らかの事件を起こしていかないと読者が離れてしまう気がしています。
その点を考慮して構成から整理検討していくと良いかと思いました。




