風化した遺跡 ②
私たちは遺跡の中を進んでいく。
遺跡に出現する魔物はやはりアンデッドのほうが多く、ゾンビやスケルトンなどの魔物のほうが多かった。
「アンデッド、多いな」
「はっはっは! シグレにばかり戦わせて悪いな!」
「いいよ……」
私たちは歩きながら話していると、突き当りに来てしまう。
突き当りには宝箱があり、ほかに道はなさそうだった。
「宝箱だな」
「開けてみようぜ!」
と、カイザーが宝箱に近づいていったのだった。だがしかし、少しだけ嫌な予感がする。私は、その嫌な予感はあの宝箱に向いていた。
あの宝箱になにかあるのか……? 危機察知能力がこれほどまで発動したことはない……。
「カイザー、開けるな!」
と、私が声を出した瞬間、カイザーは宝箱を開けようと手を伸ばしていた。その時だった。宝箱が勝手に開いたと思いきや、牙が生えて噛みついて来ようとしてくる。
カイザーはぎりぎりで躱していた。
「なんだこいつ!」
「ミミックだ! よくゲームとかで見るだろ! 宝箱とかに擬態して襲ってくる奴!」
「あっぶねえな! ありがとさん!」
私はミミックめがけて矢を放つ。だがしかし、当たらなかった。狙いを外し壁に当たった。すると、壁も魔物が変身していたものらしかったのだ。
ミミックのような感じの二体の魔物。
「しゃあねえ! 戦うしかねえなぁ!」
「実体があるのなら戦える。ゾンビやスケルトンなどのアンデッドでもなさそうだ」
ショーグンは刀を引き抜き、カイザーは拳を構える。私は影魔法を使い、カイザーの影に潜り込んだのだった。
カイザーはミミックに殴りかかるが、飄々とした動きでミミックは拳をかわす。私は影から身を乗り出し、狙撃。ミミックに当たった。
「ナイスだシグレ!」
と、カイザーは宝箱のミミックを押さえ込んで、しこたま殴りつけていた。宝箱のミミックは私のほうを見てくる。私と目が合うと、あるアナウンスが響き渡る。
《ミミックをテイムしますか?》
という声が。はいと言ってしまうと、ミミックはそのまま拘束を振りほどいて私に近づいてくる。
「あんたすごいなぁ! 俺様の擬態を見破るなんて!」
「しゃ、喋った?」
「テイムされたからやろなぁ! ま、よろしゅう頼むわ!」
と、陽気な感じでしゃべってくる。
「……何で喋ってんだ?」
「いや、なんかテイムしますかって聞かれたからはいって答えたら……」
「テイムしたのか。テイム条件を満たしたんだな……」
「みたい……」
こいつのテイム条件とか知らないけど。
でもミミックをテイムしたのは都合がいいか?
「ミミック、この遺跡を案内できる?」
「できますとも! 俺様についてきいや!」
「口調が安定しないミミックだな……」
「はっはっは。面白いじゃん。とりあえずミミックに案内させよう。仲間になったから私たちをだまして……ってことはないはず」
そう信じたい。




