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風化した遺跡 ①

 そんなこんなで頂上の遺跡に到着した。

 山の頂上というだけあり、割と登ってきた。背後の崖から落ちたら間違いなく死ぬだろう。だがしかし、ここまで登ってこれた達成感はすごいものもあるだろうな。私はずるしているけど。


「うわ、ほんとに遺跡あった……」


 と、目の前の光景を見てみると、崩れた建物などもあり、遺跡のような感じだった。奥にはぼろぼろだけど形を保っている遺跡もあるあの遺跡の中には何があるのか。

 だがしかし、それ以前にここの遺跡たちに興味をそそられる。


「遺跡があったってことはもともとはここには文明が栄えていたってわけだ。こんな山の頂上になぜ文明を作ったのはか疑問だけどな」

「なんでだろうな……」

「わかんねーけど探索しようぜ。ここには割と宝物が眠ってそうだ。プレイヤーたちに先越されちまう」

「そうだな」

「おっけー」


 私たちは遺跡の中を歩くことにした。

 古びた建物には草が生え苔むしている。歩いている石の道も、石の間から草が生えてきている。こんな草が生い茂るほど放置されていた遺跡に宝はつきものだろう。


「ちっ、やっぱこんな崩れているような建物の中には宝はなさそうだぜ!」

「あったとしても鳥の魔物とかに持っていかれてるんじゃないの?」

「それもそうだ」


 だから狙うべきは……。


「あの奥のでかい遺跡だな。あそこには多分あるぞ」

「そうだな! じゃ、行ってみようぜ!」


 そういうことで、私たちは奥の遺跡へと向かった。

 その遺跡には扉があり、重厚な鉄の扉。カイザーは力任せに押してみると、ゆっくりとだが動き始める。

 そして、私たちは中に入ると、なぜだか明かりがついていた。


「……ここ、ダンジョンか?」

「みたいだ」


 この遺跡は風化したせいでダンジョンになってしまったのだろうか。

 この鉄の扉が勝手に閉じ、普通は光なんてないはずなのだ。明かりなんて人が住んでいないのだからあるわけがない。なのについているということは。


「ダンジョンかよここは……」

「あー……」


 ダンジョンだということに気が付いてしまった。

 すると、奥のほうから足音が聞こえる。カツン、カツンと歩いてきたのは骨の人間。要するにスケルトンだった。

 スケルトンは衣服を身にまとい、極太の骨を手にしている。こちらと目が合うと、一目散に襲い掛かってきた。


「アンデッドが多そうだな! アンデッドは苦手だぜ!」

「光陰の矢」


 私は光の矢を放つ。アンデッドには効果抜群だ。


「すげー、光の矢?」

「光陰の矢っていってな。敵に当たれば光魔法として、仲間に当てれば回復魔法として使える便利なスキル」

「へぇ。回復と攻撃を担う技か……」

「だから回復できるように今パーティ設定しておこうよ。パーティ設定してないと回復できない」

「わかった」


 私はパーティ設定して、閉じる。


「それにしても二人アンデッド嫌いなの?」

「嫌いっつーか、俺らの攻撃がほぼほぼ通らないからな」

「魔法攻撃持ってないから。俺らって」

「なるほど」


 アンデッドは物理攻撃は効きづらい。

 先ほどのようなスケルトンなど実体があるモンスターには攻撃判定はあるが、実体がないものだと魔法攻撃しか通らないという場合がある。

 剣士の場合は聖水というものを買って剣に振りかけるしかないぐらいだ。


「さて、先に進もうぜ」

「なるべく敵には会いたくないな」


 遺跡の探索だ。








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