身を焦す
私は空を飛ぶ。
山を登るのはこっちの方が楽なのと、何かあってもすぐ避難できるようにするためだった。
ミノルたちも隠しボスということで、すぐに戦えるように剣を抜いていたりする。
「もう少しで山頂だ。気をつけろ」
「ああ。もう二度と同じ誤ちはおかさない」
山頂についた。
すると、突然私たちの上に何かが覆い被さる。私は思わず口を塞いだ。
蝶だった。デカい蝶。その蝶の鱗粉が降ってきている。
これが眠らせるのだろう。
「うへぇ、眠い〜……ぐー」
「くっ……」
「…………」
と、ミノル、ミコト、ハルサメが眠りについていた。ハルサメの弱点は状態異常か。いくら反応速度が速いといえど初見じゃ回避するのは難しそうだ。
ミノルは……まあ、なんとなくわかってた。そしてミコト。お前同じミス犯さないっていってたよな?
すると、蝶の前に何かが集まる。魔法?
私は光芒霧消を使用すると、その魔法は消える。
「しょうがない、空を飛ぶか」
私はぽんぽこの腕を掴み、空を飛ぶ。
「ぷはぁ! 危なかったです……」
「そうだな。他三人は眠ったが……。やれるとこまでやるか」
「は、はい!」
「とは言っても、戦うのは私一人だけだが。サポート頼むぞ」
私は矢を構える。
だがしかし、蝶はすぐこちらに向き、ばさはさと羽根を羽ばたかせると、こちらに鱗粉が飛んできた。
厄介だなクソ……。
「しょうがない。一発で決めてやるか」
私は弓矢をしまう。
「ぽんぽこ、一度だけでいいから動かさせないことできるか?」
「できます! バインド!」
「ナイス!」
私は遥か高くまで飛び上がり、そして、そのまま勢いよくその蝶目掛けて突っ込んでいく。
ブレーキなんてかけない。一発で決めるなら自傷覚悟でいくしかない。
「なっ……。シグレさん、死にますよ!?」
「上等! 命懸けなきゃ倒せないのならそうする! 手っ取り早いのならそうする!」
バインドから解き放たれた蝶は避けようとしていたので王の威厳を使用。
私の体は蝶にぶち当たり、そのまま蝶もろとも地面真っ逆さまに向かっていく。
私の体は流星のように燃えている。
《スキル:身を焦す流れ星 を取得しました。加速しますか?》
「加速!」
すると、私の足元に魔法陣が現れる。触れられる。私はその魔法陣を蹴り加速。
もう少しで地面に着きそうだった。すると、ミノルたちが目を覚ます。
「あれ、うちら死んでないじゃん!」
「くっ……不覚……!」
「な、なんですかあの流れ星は」
「あれシグレじゃん!?」
「なんと!?」
そういう会話がうっすら聞こえる。
これ反動ダメージで死ぬかなあ。だとしても倒せるのなら文句はない。
「一緒に死のうぜちょうちょさん。私はその覚悟出来てるからな!」
私はそのまま地面に突っ込んだ。
蝶は叩き潰され、私の体力はごっそり減った。そして、体力が尽き、私はそのまま倒れ伏せる。
あーあ。自殺か。ま、倒せたから文句はないが。
「り、リライフ!」
と、私の体に光が走る。
すると、無くなった体力が回復していた。ログアウトすることもなく、立ち上がることができた。
「なんて危険な真似を……」
「あ、ありがとさんぽんぽこ。蘇生できるんだ」
「結構魔力使いますけど出来ますよ……。それより! なんて危ない真似を……」
私の下敷きとなった蝶は起き上がる。そして、何か訴えかけるような目でこちらを見た。
《スリープバタフライが仲間になりたそうです。仲間にしますか?》
ということだった。
仲間?




