禁忌を踏み越えていく者 ①
さすがのミノルも大富豪というか、偉い人のところに入るのは緊張するのかなかなか扉に手をかけなかった。
ミコトが開くぞと告げ、開くと、弥勒さんがプラモデルを作っていたのだった。
「よく来たな」
「は、はい!」
「弥勒さんってプラモ趣味でしたっけ?」
「いや、初めてやってみた」
だよね。前まで作ってるイメージなかったから。
「それで、私に何の用ですか?」
「あ、そうだな。用か……。の前に、ミノルさん。頼みがある」
「た、頼みですか?」
「数日くらい、シグレちゃんを俺に貸してくれ」
と、私を貸してくれと頼んで、ミノルが断れるわけもなかった。
ミノルは少し言葉に詰まったが、わかりましたと告げる。弥勒さんは私を借りて何をしたいのだろうか。
弥勒さんがどうやって俺のスマホに移すかといっていたが、ミノルはいつでもコードを持っている。なぜ持っているのだろうか。
「このコードを使えばいけます!!」
「そうなのか。わかった。じゃあ、繋げてくれるか」
といって、繋げると扉が現れる。茶色い少し古びた扉だった。私は扉を開けると、弥勒さんのかっこいい顔がモニターに映っていた。
そして、扉が消える。
「ありがとう」
「えっと、帰ってくる日とかは……」
「む、そうだな……。君の番号を嫌でなければ教えてくれないか?」
といって、連絡先を交換していた。
私は打ち込まれるミノルの連絡先を見つつ、寝そべる。
「これでミノルさんに頼むことは終わった。ありがとう」
「い、いえ?」
「もう帰ってもよろしいのでしょうか?」
「ああ、かまわない……。が、気になるならこの会社を見学してくといい。秘書に一緒についていってもらう」
「はーい! ミコト、見学してこうよ!」
「わかった」
二人は社長室から出ていく。
私はそれを見計らい、弥勒さんに尋ねた。
「それで、私に何の用ですか?」
「可愛い親戚の娘さんを見て何か悪いことでも?」
「それだけのために私を呼ぶ人じゃないですよね」
弥勒さんが呼んだことには意味がある。
「まぁ、雑談でもしたかったのだがな。用っていうのはあるものの被検体となってほしいんだよ」
「被検体?」
そういって、弥勒さんは立ち上がり歩き出す。エレベーターに乗り下に向かったのだった。そして、地下まで行くと駐車場に向かい、車に乗り込んだ。
どこへいくのだろうかと思っていると、不死帝科学技術研究所という大きな施設に入っていく。
「ここになにが……?」
「見たらわかる」
そういって、弥勒さんは立ち止まらず歩いていく。
中はとてもきれいで、掃除の人がこんにちはーとあいさつして弥勒さんも挨拶をし返す。すると、目の前に綺麗な女性が歩いてきた。
「弥勒様」
「琴音。来てたのか」
「はい。完成したようなので私も好奇心を抑えられずに」
「ほう、完成したか」
完成? なにがだ?
「被検体の人は……」
「今ここにいる」
と、私を見せてくる。
私はどうもとお辞儀。
「初めまして。私は弥勒さんの妻の不死帝 琴音と申します。可愛い女の子の被験者さんですね」
「どうも」
完成したものの被験者ということか私は。
「……その被験で死ぬことってありますか?」
「大方ないと言える」
「死ぬ可能性はなくはないんですか」
「どんなものにも絶対はない」
まぁそうだけど。
「もうすぐだ。これが今の日本の技術の結晶となる」
そういって、部屋に入ると。目の前にあったのは。
「人形……?」
人型の人形だった。




