キングミミック
考古学者キューと共にその大空洞があるであろう場所にやってきた。
せりあがった砂の丘。ここが言い伝えられている大空洞の場所ということ。
「ここら付近でたまに行方不明者が出るみたいなんです。なんでも消えるとか」
「消える?」
「転移する魔法陣でもあるのか、それともどこかに穴があるのか……」
考古学者キューは考えながら砂の上を歩く。
私もひたすら歩きまわっていた時だった。ずぼっと下半身が穴にはまる。そしてそのまま、私は砂に吸い込まれていったのだった。
「ちょ!?」
私は砂の中に吸い込まれていく。まさか流砂? いや、でも流砂が起きるような場所では……。私はただ真っ暗な砂の中に引きずり込まれていく。
すると、開けた場所に入ったのだった。砂の天井を突き抜け、私は空中を落下していく。翼をはためかせ、空を飛んでいると。
「シグレくん!」
「おわ! まじでなんか空間があるぞ!」
「あ、着地どうしましょう!?」
と、三人も落ちてきた。
私はキューとミコト、クリンズを抱える。三人はさすがに重いが、飛行できないほどではないようだ。
私はゆっくりと下に降りていく。
「まじであった! すごい! 大空洞は本当にあったんだ!」
と、キューははしゃいでいた。
地面にゆっくりと下ろし、私たちはその大空洞の中を見て回ってみる。柱のようなものが砂に突き刺さっていたり、人の骨が落ちていたりといろんなものがあった。
だがしかし、宝箱も複数個所に落ちている。
「ほえー……」
私たちが場所に見とれていると、突然私の掌の紋章が光りだす。
ミミクが突然現れた。
「おお! なんや! お前さんすごいとこきよったなぁ!」
「おわ、魔物!」
「ん? なんか知らない人間もおるなぁ。ま、安心せえや! 俺様はテイムされとるから襲いやせえへんで! それより、力があふれ出しそうやでえ!」
と、ミミクが光りだす。
ミミクの体が大きくなり、どんどんと宝箱が大きくなる。私の体のサイズまで大きくなり、光がやんだ。ミミクの体は豪勢な宝箱みたいになっており、口が開く。
「おお! キングミミックになったでぇ! ここは俺様の力を解放する場所みたいやな!」
「なるほど。この大空洞はそういう……」
「なんと!? 魔物も進化するのですか! これは新たな発見……」
「なんや。普通にするで? 知らなかったんか?」
「魔物が進化するところは誰も見たことがないんですよ! 不思議と!」
たしかに。私も知らなかった。
テイマー掲示板も見たが、進化したという話は一切聞いたことがない。魔物は進化しないというのが当然のようになっていたが……。
「くっ、魔物学のやつも連れてこればよかった……!」
「ミミク、ここら辺に魔物とかはいないよね?」
「ここはキングミミックがたまに現れる……みたいや。今はいないみたいやけどな」
「あ、一応魔物は出るのか……」
キングミミックの生息地か。
「あの宝箱開けてみい。いいもんはいっとるかもしれへんで?」
「……胡散臭え。信じていいんだよな」
「信頼と安心のミミク様やで! 信じてみい!」
「……うさん臭さが増したな」
といいながらも、私たちは宝箱を開けてみたのだった。




