イベントの終わり
私たちより、相手側の消耗のほうが激しい。
残り時間はあと五分。私とハルサメはまだしぶとく生き延びている。
「あと五分しかねえ! 他のプレイヤーなんてどうでもいいから、しぶとく旗だけ狙え!」
「なんとしてでも逃げる!」
私は周りを必死に見ていた。
どこから攻撃されるか。不意を突かれたりしないか。私は常に警戒を怠らない。すると、私めがけて魔法が飛んできた。
私はそのまま躱す。
「残り五分じゃ! 死ぬ気で防衛!」
お互いが勝つために頑張っている。
二人、倒したら相手は勝ちなのだ。ほかの有象無象なんて気にせず突っ込んでくるだろう。攻撃できない分、反撃することができない。
「もらいーーー!」
「させへんで!」
と、隙を伺って剣で小突いて来ようとしてきたプレイヤーを、関西弁の男が止める。
「シグレーーーーー! 勝たせてよ!」
「そんなわがままが通じるか! 勝負の世界はそういうもんだ!」
ミノルは焦りながらも攻撃してくる。
つい数時間前は私に攻撃できないとか言ってたくせに。
だがしかし、守りに徹した私たちを突破するのはやはり困難だったようで。
「残り10秒」
カウントダウンが始まった。
そして、カウントダウンが終了すると、ホイッスルの音がどこからか聞こえ、武装がまず解除されたのだった。
私たちは剣を置き、どでかく現れた目の前のモニターを見る。画面には運営の人が映っていた。
『イベントお疲れ様! 見ていて楽しかったよ』
と、サングラスをかけた男性が、今回のイベントの感想を述べた。そして、結果発表の時がやってくる。
『今回のイベント、第一サーバーである君たちの勝利チームは……7本とった黒陣営の勝利! 白陣営は旗の防衛こそ強かったけれど攻めにかけていたね』
「旗役三人残してるからな……」
『というわけで、黒陣営の50人には豪華賞品が贈られまーす! やったね! 今リストを送るからそこのリストから好きなものを選ぶといい』
と、目の前にウインドウのようなものが開かれる。
賞品リストと書かれており、レアなものから進化の種など様々なアイテムがあったのだった。ミノルは私の隣に来る。
「シグレシグレ。これがいーんじゃない?」
「いや、私が決めるんだけど……」
「私が選びたいー!」
「勝ったのは私たちなんだから私が選ぶ。わがまま言うんじゃありません」
「むー、けちー」
「けちで結構」
ぶーぶーと文句たれるミノルを横に、私は賞品を見ていった。
気になったのはいくつかあるが、もらうのはすぐに決められた。というのも、私が今欲しいものがあったからだ。
それは”月の隠者”というスキル。効果は気配を消すスキルだ。私は影に隠れていたほうがいい。ミノルという太陽がいる以上、私は影に徹しようかな。
『全員選び終わったようだね! ではこれにてイベントは終了! ただちに元居た位置に転移させよう」
そういって、私たちのイベントは幕を閉じたのだった。




