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明日からオリエンテーション合宿!

 何とか逃げ帰り、港に戻る。港には依頼をしてきた貴族の人が立っていた。

 

「どうでしたか?」

「キラーオルカという魔物が住み着いていました」

「キラーオルカ、だと……? その魔物はこの近海には生息しないはずの魔物です……」

「住処を追われて仕方がなく住み着いたという感じでしょうか」

「かもしれませんね。ありがとうございます。考えるに、魔物が活発化していたのはそのキラーオルカへの恐怖心かもしれません」


 恐怖心で暴れているのだろうか。

 ともかく、よかった。生きて帰れたのは僥倖……。


「報酬をお受け取りください」


 と、私は袋を受け取る。

 袋の中にはお金が入っていた。二万ブロンというお金。調査だけでこの金額とは恐ろしい。


「いつか討伐しなければなりませんね。放置していると漁師に被害が及びます」

「そうですね。でもめちゃくちゃ強かったですよ」

「また……探索者の人たちが強くなっていたら依頼を出します」


 なるほど。依頼を出す条件はそれか。

 もしかするとクエストはただ単に転がっているわけではなく、条件があるのかもしれない。思い返してみれば母の難病のクエストもそうだった。

 あれは雨の日でしか出会えない少女。雨が降っているという条件でなくちゃクエストを受けられないということだろう。


「何か条件を満たす必要がある、か」


 となると、まだまだ始まりの街にもクエストはたくさん転がっているかもしれないな。


「バードン様、ここにおらしたのですか」

「すまない、迎えが来てしまったようです。また再び会えることを願っております」

「はい。ありがとうございました」


 そういって、馬車に乗り込みバードンは行ってしまった。


「……すっかり暗くなったな。現実では夜か」

「そうですね。晩御飯も食べてないですからね……」

「ぽんぽこはログアウトしてご飯食べてきたら? 私はまだちょっとやってるけど」

「いえ、ミノルさんたちと合流してからでいいですよ」

「そっか、ミノルたちと別行動だもんな」


 私たちはミノルたちがいるであろう砂浜に向かうと。


「あれ? いない……」

「おーい、ミノルー」


 大声を出して呼び掛けてみるが反応なし。

 すると、何かが砂浜を歩いている。スケルトンだった。海賊服をきたスケルトン。どうやらこの砂浜は夜になると魔物が徘徊するようだ。

 

「ミノルのやつ、スケルトン怖くて逃げだしたのか? しょうがない。フレンドメッセージでどこにいるか聞いてみるか」


 最初からこうしておけばよかった。

 だがしかし、ログインしていないようだ。ログイン中と表示されていないのを見るにどこかでログアウトしたと考えるのが自然だが……。

 あいつらの場合セーフティエリア外でもログアウトしそうだな。


 このゲームではセーフティエリアというものがある。魔物に襲われない、死ぬことはないというエリア。拠点と、宿屋の二つが該当する。

 なのでプレイヤーは基本拠点か、宿屋を取りそこで外泊するのがログアウトするために必要なことなのだが。それを怠るとログアウトしているときに魔物にやられてデスペナルティを受けることがある。


「ま、いないもんはしょうがないか。宿をとることにしよう」

「そうですね。明日合流することにしま……。いや、明日は用事があるんでした」

「用事?」

「その、去年オリエンテーション合宿なかったじゃないですか」

「ああ、なんかそういう行事あったね」

「それじゃ可哀想だっていうことでさ、二年生も合宿しようっていう話になってですね」

「泊まりにいくってこと?」

「そうなんです」


 オリエンテーション合宿か。去年の今頃にはこうなってたからどうでもいいんだけど。テロがあって数か月なのと、流行病があって中止となったんだっけ。

 だから今行こうって?


「6月くらいには修学旅行で北海道行くんじゃないの?」

「そうなんですけどね。まぁ、うちの学校って行事大好きなんですよ」

「いや、それはなんとなく画面からでも伝わるけど」

「行事大好きだから中止になるのは嫌だということと、先生方も行きたかったみたいなので。流行病も収まってますし行けると踏んだそうです」

「ふぅん。じゃ、私もできないかな」

「え?」

「多分ミノルが私を連れてく」


 ミノルのことだから私もつれていくだろうな。










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