生きるか死ぬかのギャンブル ①
また再びダンジョンに舞い戻ってきた。
そして、再び分かれ道につく。この道、どちらが外れで、どちらがあたりなのだろうか。わからない。わからないけれど、ここは私の幸運にかけるしかないようだった。
オーツとハムレットも言葉には出さないが、外れたくないという意思は感じる。
「……どっちにするよ? 俺はどっちでもいいぜ。今度はシグレが決めろ」
「クク……。そうだね。私とオーツ、両方外しているからね」
ということだった。
私が嫌な予感がするのは左……。左には行ってはいけないような気がする。私は、そう感じたので右だと告げた。
私たちは右の道に歩き出す。背後の分かれ道の入り口が封鎖され、私たちは前へ進むしかなくなっていた。
「ここで本当にあってるかはわからねえが……。外れでも文句は言わねえさ」
「言わないでくれると助かるよ」
私たちは歩き進めると、突然床が開いた。
「外れっ……!」
「ちっ……」
床が開いて、下に落ちていくが、少ししたところになにやら床があった。傾斜になっており、滑り台の要領で滑らされる。
私はその前回などとは違う展開に少し戸惑いを隠せていない。
「滑り台……?」
「もしかしてこれは当たりなんじゃねえか……?」
「ククク……。そうかもね」
私たちは滑り台で滑っていく。そして、到着したのは広い空間だった。
洞窟内にバカでかく広い空間があり、目の前にはビッグクラブの色違いみたいなのがいる。あれがボスなのだろう。
「ボスのお出ましのようだよ。あれはビッグクラブの変異種、オーバーキャンサーっていうみたいだ」
「へぇ……」
「あのハサミで攻撃されたらひとたまりもないから気を付けて。ダンジョンに置かれているボスはフィールドを徘徊しているボス個体よりもはるかに強いようだ」
……あの巨大ファンファンで苦戦しているんだが。あの巨大カブトムシにも苦戦を強いられていたのだが。私たちで行けるのか?
ダンジョンのボス個体ははるかに強いって……。
「っし、じゃやろうぜ! 先手必勝だ!」
と、オーツがキャンサーに向かって突撃していった。
思い切りメイスを振り下ろす。すると、キャンサーは泡を吹き出し、オーツにぶっかかる。オーツは泡によって吹き飛ばされ、着地するが。
「うお、つるつる滑るぜ」
「デバフだね。泡まみれという」
「なるほど。泡をくらっちゃだめか」
泡を食らったらまともに動けなくなりそうだ。
私は矢を放つ。すると、キャンサーもものすごい勢いで泡を吹き出し、ビームのようにこちらに飛んできた。
私はすぐに躱す。
「つるつる滑るようになってもやるこたぁ変わらねえぜ! 滑るってことは移動力が増しているってことだぜ!」
と、勢いよくスライディングし、キャンサーに近づくオーツ。
そのオーツめがけてハサミを振り下ろそうとしていた。私ははさみめがけて矢を放つ。キャンサーはひるみ、オーツはナイフをぶっ刺した。
「ナイスだぜシグレ!」
「無茶するなお前……。命が惜しくないのか」
「捨て身でやるしかねえだろうよ! 命かけなきゃ面白くねえ!」
どこまでギャンブラーなんだこいつは。




