表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
196/326

ミコトのために ②

 私はミコトのマネージャーさんと出会う。


「椎名 尊のマネージャーの田中と申します」


 と、20代くらいの若い眼鏡をかけた可愛い女の人がマネージャーだという。

 マネージャーさんは私のスマホを持ち、電車に乗った。


「えっと、今から私はどこに行かされるんですか……?」

「聞いてない?」

「え、ええ。ミコトさんからあなたを連れてこの住所にと……」


 そういうと、電車は目的地に着き、マネージャーさんは地図を頼りに私の家に歩いて向かったのだった。

 そして、見えてくるのは高級住宅街。どこかおかしいと思ったのか、住所をまた見返している。


「えっと、ここですよね……? ここを突っ切れと……? 住所はこのいかにも高そうな家が並ぶ住宅街……。ミコトさんこんなところに知り合いなんていましたっけ……」


 そういいながらも、高級住宅街を歩いてく。

 そして、ここだといって、マネージャーさんの田中さんが目を上げた時、固まっていた。表札を見て、夜桜家と呟く。


「ま、まっさかぁ。ミコトさん夜桜家の方とつながりが? そんなこと……」

「ありますよ。私、夜桜 時雨です」

「ふぇええええ!?」


 そういうと、驚いたかのような声を上げた。

 その不審な声に駆け付けたのは、家で働く使用人の人たち。屋敷がでかいので使用人がいないと管理ができないということ。

 不審な女性をにらむ使用人の一人。私は声を上げた。


「大丈夫。私が許可してる」

「これはこれは時雨お嬢様。この方はお知り合いで?」

「知り合いのマネージャーさんかな。父さんいる?」

「お父様は今書斎に」

「よし、じゃ、いくか」


 私はマネさんに書斎のほうに向かってくれと告げる。マネさんは夜桜家というでかい家に緊張しているのか、左足と左手を同時に出すなど、ものすごく緊張していた。

 本来なら絶対かかわることがなかったであろう家だからだ。


 書斎につくと、私は父さんの机の上に置かれた。


「よく来たね。今日は何の用かな」

「頼みがある」

「頼み?」


 私はミコトのことを説明した。

 

「わかった。人が来ないように牽制をしておけばいいんだろう? なら、その病院ではなく妻の弟……。志士くんの病院ではどうだろうか。そこなら私の手の届く範囲だ」

「そこに病院を移すようにと?」

「ああ。さすがに私の息がかかっている病院にむやみやたらに突撃するバカはそうそうおるまい。要件はそれだけかな?」

「ああ」


 私はそういうと、父さんは私のスマホを持ち上げる。そして、少し悲しげな眼をしていた。


「時雨。お前は自分のために私を使ってもいいのだよ。私は時雨になにもしてあげられなかったのだから」

「……友人のためになるんだったら私のためだっての」


 別に私は家の力なんてどうでもいい。

 自分のために使うなんてのはしたくない。私はそういうのは嫌だから。家の力を使ったら余計になめられるだけじゃないか。

 私はそういうのはごめんだよ。金持ちのボンボンとして見られたくない。


「それで、寒九と翠雨は?」

「寒九は部屋にいる。翠雨は夏休みだということで友達と北海道に旅行に行った」

「なら、安心だな」


 翠雨がいると安心できないからな。あのシスコン妹はちょっと怖い。


「もう要件はすんだし帰る」

「少しゆっくりしていかないかい?」

「私はいいけど、あそこに座ってるマネさんが緊張でガチガチに震えているだろ。早く帰してやらないと」

「はは、そうか。わかった。また、いつでも来なさい」

「じゃあ、このアプリ入れてよ」


 と、私はミノルが作ったアプリを提示する。


「なんだいそれは」

「私の友人が作ったアプリなんだけどね、電波を介して他人のスマホに移動できるっていうものさ。遠くにいても一瞬で来ることができる」

「なるほど。面白いものを作るんだね……。恵まれた友人に出会えたのだな」

「まぁね」


 私はそういうと、すぐにアプリを入れ始めた。

 ミノルはすでにリリースしたとか前に言っていた気がするから言ってみたが本当にリリースしていたようだった。


「それで、夜桜 時雨って名前を許可するとすれば私はその中にいける」

「……そうか。なら、またいつでも来なさい。私はお前の願いをかなえられる範囲でなら叶えてやれる」

「その時が来たら頼りにするよ」


 私はマネさんを連れて、実家を後にした。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ