ミコトのために ①
昼頃になり、アレスタは昼食をとってくると告げログアウトすることになっていた。
私は一度拠点に戻ろうとすると、オーツとマホカがやってくる。
「おい、シグレ。ニュースだぜ」
「ニュース?」
「毒で倒れたミコトが生き返って芸能界に復帰するらしいぜ! 俺、大ファンなんだよ! かーっ! よかった! 死んでなくてよかったぜ!」
ミコト……? ミコトが芸能界ってどういう……あ、ミコトってそういえば女優か。
どういう心境の変化だ? まぁいい。おめでたいが……。
「要件それだけ?」
「ああ! この嬉しさを共有したくてな! くぅー! よかった!」
オーツは嬉しそうにガッツポーズ。
マホカもうれしいのかわーいわーいと両手を上げて喜んでいた。
「ミコト生きてたのは知ってたからそこはいいんだけど……芸能界に?」
「……まて、知ってたってのはどういうことだ?」
「……あ」
今、こういうニュースになるってことは隠してたってことか?
となると、口を滑らせたことになるのか?
「……何か知ってるな?」
「……知ってるも何も、毒を吸った現場にいたし、目を覚ました瞬間にも立ち会ってるし……」
「お、お前っ! ミコトのなんなんだ!」
と、オーツが私の胸ぐらをつかむ。
「友人ってだけだよ……。私のグループに入ってんだ。ミコト」
「なんだと!? マジかよおい! お前、やっぱすげえな!」
「すごーい! 有名人とお知り合い!? ちょーすごいですね! うわー!」
「ちょ、もう離してつかぁさい……」
オーツは興奮しているのか私を揺さぶっていた。
「あ、わりぃ。興奮しちまってついな。だがしかし、知ってたんなら言えよー! あとでサインくれって頼んでくれねえか! もちろんお礼はするぜ!」
「それぐらいなら別にいいよ……。っと、ちょっとログアウトするわ……。さすがに精神的に疲れた……」
「おう!」
と、私は宿屋に戻りログアウト。
ログアウトすると、メールに通知が来ていた。電話も来ていたようだった。私はメールを見てみると、ミコトからのメールだった。
内容はというと。今すぐ病院に来れないかということだ。私は仕方がないので、以前ミノルが開発したアプリを使ってミノルの携帯まで飛んでいった。
ミノルの携帯の中に入ると、久しぶりに四人の顔を見た気がする。
「シグレーーーーー!」
「で、なんだよ頼み事って」
「君はニュースをまず見たかい?」
ニュースって。
「ああ、聞いたけど。芸能界復帰するんだって」
「そう。そこでちょっと頼みがあるんだ。ボクは有名人だろう? そして、結構ファンがいる。この病院もばれてるから面会などが後を絶たないと思う」
「ああ、そういう迷惑なファンって誰にでもいるよな。んで?」
「夜桜家の力でどうにかできないかという相談さ」
「……できなくはないが」
たしか母さんの弟が有名な大学を出て、その大学病院で医師として働いている。病院にも一応コネはあるのでなんとかできなくはないが、そのために私に家の力を使えと。
……ま、使えるものは使えってことだろうな。
「わかった。けど、まずは父さんに頼みに行くとしよう。外に出ることはできるか?」
「……マネージャーに連れて行ってもらうことはできないかな? ボクはまだこれでも絶対安静でね。出歩いているところを見られたらさすがにまずい」
「わかった。じゃ、マネージャーをここに呼びなよ」
ミコトのために家の力を使ってやるとしようか。




