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◇ ミコトの復帰

 一方、病院では。

 ベッドの上に三人が座る。


「またうちの負け!? もー、なんでうちにババいるのー!」

「あっはっは。ミノルくんはもうちょっとポーカーフェイスを学びたまえ!」


 ミノル、ミコト、真田さんの三人がトランプをやりあっていた。

 彼女たちの体にもう毒は残っていないのだが、念のためということでまだ入院が続行。先日のこともあり、まだしばらく様子を見ることになっていた。

 彼女らはゲームもできないので、暇を持て余している。


「もーつまんなーい! 帰ってゲームしたーい!」

「ははは。ま、しばらく我慢だ」

「シグレ殿に連絡つかないであります」


 と、病室にすでに元気いっぱいのハルサメが入ってきた。

 ミノルはなんでと聞くが、わかるわけがない。だがしかし、真田さんは携帯を見ながら、たぶんといって、話を続ける。


「今、リミルドで夏休みの思い出を集めようというイベントをやっているらしくてですね、もしかしたらそのポイントを集めるために奔走してるのではないでしょうか」

「えー! ずるい! うちらも参加したい!」

「参加するにしても、いつ退院できるか、だ。ボクはちょっと考えてることもあるのでね」

「考えてること?」

「芸能界への復帰さ」


 ミコトはそう告げた。


「そういえばミコトさんって女優でしたね」

「そうだったっけ?」

「女優だと認識されていなかったのは少し悲しいが、ボクはこれでも立派な女優さ。勉学も大体理解できているし、なにより毒を吸い入院したということはニュースにもなってしまったからね」


 そういって、スマホを見せた。

 そこには女子高生女優、椎名 尊が何者かによって毒を盛られ入院ということだった。生死不明の状態とあり、ミコト自身SNSの更新を止めていた。


 そのためのなのか、マスコミは死んだかのように書いており、椎名 尊と検索すると、死亡というサジェストが出るように。


「ボクが息を吹き返したことも知らないからね。数日前にスーツ姿の男性が来ただろう? あれは事務所の社長でね。お世話になってる人なんだ。そういう人にはやっぱりいたずらはしたいものだろう?」

「……だからあの時生きていることを秘密に、と」

「そう。あくまでボクはまだ息を吹き返していないという設定さ」


 ミコトはいたずらっ子のように笑う。


「まぁ、そろそろいいだろう。ボクが死んだと告げられて悲しむ姿は見ることができた。だから事務所に連絡を……」

「……それってミコトはもうゲームできないってこと?」


 と、ミノルがそうこぼした。

 ミコトが復帰するということは仕事に忙しくなるということでもある。


「いや? ボクは今まで通りゲームをするさ。ただ、収録などがあるとログインする時間は遅くなるだろうがね。スケジュールは調整させてもらうさ」

「ならっ、いいんだけどっ!」

「ボクも楽しくなってきたゲームをやめるつもりはないからね。というわけで、事務所に連絡を入れるとしよう」


 そういうと、携帯を取り出し電話をかけたのだった。

 真田さんたちにも会話が聞こえており、電話口の向こうから泣きじゃくる大の男の声が聞こえてくる。そして、マスコミにも息を吹き返し芸能界に復帰するということを言うそうだ。


「さ、しばらく会見などで忙しくなるだろう。この病院にももしかしたら押しかけてくるのかな。それは厄介だから手を打ちたいが」

「……なら、夜桜家の力を使えば」

「ふむ、シグレくんに協力を求めなければね」









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