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彼女らの救世主

 アレスタは的確にサポートをしてくれていた。

 攻撃は得意ではないといっていた彼女だが、それなりには攻撃はできるようで、火の玉などを召喚して敵にぶつけていた。


 私たちはまずひと休憩。


「おまえらのグループって何人?」

「そうですね……。マホカ、ウルフ、オーツ、私、あと一人で五人です」


 となると、私はあと一人に出会ってないわけか。

 四人ともであってフレンドになっているのだから最後の一人にも出会いたいものだが。


「マホカたちとの関係は?」

「リアルでの友達っていう関係ですよ。これでも私、あの子たちの友達なので」

「ふぅん。あいつらは下に見てないんだ」

「もうやめてくださいその話は……。あの子たちは特別なんですよ」


 アレスタは特別だとのたまった。


「なんかあったのか?」

「……兄とうまくいってなく兄によって精神的におかしくなっていたところを助けられただけですよ」


 なかなか重い。

 アレスタは木の下で体育座りをしながら青空を眺めていた。


 荒磯家の長男は後継ぎで、厳格公正な人だといえる。

 身内にも他人にも厳しく、曲がったことは嫌いな人物だ。正直、あの頭が固すぎる音ことは私もうまくやれる気はしなかった。

 ただ、自分より上の人にも駄目なことは駄目といえるそのメンタルは褒められるべきだが。


「ま、そうだな。性格は真反対か」

「そうです。私は基本的に何もかもルーズでよく怒られてました。父や母は私をかばってくれましたがね。でも、あの兄の行き過ぎた正義心は家庭内においても不和を生み始めました」

「荒磯家にはそんな事情があったのか? ただ、離婚しただという話は耳にしたことがないな」

「離婚はしてません。ただ、兄を敵視する母と、兄も私も両方受け入れている父でたびたび喧嘩をすることがありまして。母は兄の厳しすぎることに苦言を呈し、父は正しいことは悪いことではないというようになりました」

「ふぅん」


 正しいことは悪いこと、ではない。

 というのも、自分が正しいと思っていると他者に耳を傾けなくなる。正しいと思い込むということはそれはもう正しくない。ただの独善だ。

 独りよがりの正義を振りかざしているだけに過ぎない。飴と鞭というような言葉あるように飴を与えなければ人は離れていくものだ。


 荒磯家の兄はそこをわかっていない。

 自分は正しいと思い込んでる。それは私が生きて、あの学園に通っていたころからそうだった。


「そんな家庭を見てられなく私は家出したんですよ。そこを救ってくれたのがマホカってだけです」

「なるほどねぇ」

「私の事情はこれだけですが、マホカに救われた人はたくさんいるんです。私も、オーツも、ウルフも。私のグループは全員マホカに救われてるんですよ」

「救われる、ね」


 彼女らにとってマホカという人物はキリストのような存在なのかもしれないな。

 私たちには救いの手が必要なのだ。


「さて、与太話もこれぐらいにして続きを始めましょう。時間は有限なのだからね」

「そうだな」


 私たちは立ち上がる。

 弓矢を構え、ファンファンを狩り続けた。ファンファンを狩りながらも、先ほどのアレスタの事情がずっと頭に残っていた。

 彼女は救われた。マホカというキリストによって。


 私にとってのキリストは……。 

 ミノル、だろうな。私はミノルに救われた。彼女らはやはり私たちに似ている気がする。













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