巨大ファンファン戦 ②
つい数時間前にも、ボス級であるオオツノゾウヘラクレスと戦ったばかりなのだ。集中力が持つわけがない。
逃げるか……? でもここで逃げ帰るのはなんかダサいな……。
「やるしかないか」
どこまでやれるかはわからない。
あのヘラクレスみたいに強力な敵になるかもしれない。正直言うと気乗りしない。
私とミノルたちとの違いはココなんだろうな……。私は嫌なことから目を背けるけど、ミノルたちは……。
まあ、仕方ないよ。私は才能なんてないんだもん。
っと、ダメだダメだ。こんな消極的な思考は。
私はその思考を取り払おうと矢を一発放った。巨大なファンファンに刺さる。
微々たるダメージにしかなっていなさそうだが……。、
私が放った一矢は自分の邪念を解き放つために撃ったもの。そりゃ大したダメージにはならない。
だからこそ……こんなにも弱い一撃か。
「ま、やれるとこまでやってみるか……」
私はもう一度矢を放つ。
急所を狙って放った矢はファンファンの心臓部に当たった。私はガッツポーズ。
「っっ!」
強い風が吹く。
吹き飛ばされそうなくらい。立っているのがやっとだった。すると、私の下に扇風機が現れ、私はその扇風機の羽の中に落ちていく。
プロペラが、私の体に当たった。
「これやべぇな……。アイギスの盾!」
私は咄嗟にアイギスの盾を発動すると、巨大なファンファンにダメージが入っているようだった。
これはファンファンが使う魔法で、もしかしたら切り札みたいなものなのではないだろうか。
というのも、ものすごく消耗したみたいで少し足がもつれている。
「カウンターとしてつっよいなこのアイギスの盾……」
アイギスの盾の重要さが身にしみてわかる気がするよ。
私はそのまま死ぬる覚悟を持ち、突貫。弓矢だとなんとなく察したのだが、風を起こして威力を相殺している節がある。多分接近戦の方がダメージを与えられる気がする。
私はあ以前木登りをして手に入れた刀を取り出した。
なんの刀かはわからないがこれを使ってみるか。もちろん私には剣術の知識が……ないわけでもないが、運動はそこそこしかできない。
だがしかし、知識はある分まだマシ……? いや、知識だけで技術が伴わないと強さは……。
えーい、ままよ!
私は刀を持ち、特攻していく。
刀身がファンファンの足にぶちあたった。だがしかし、ダメージはそこそこという感じ。
私は刀を引き抜き、次の動作に移る。
こういうのは素早く動くのが正解択だろう。
「刀も練習しておくべきだな」
ファンファンの蹴りが私の体に炸裂する。
だがしかし、まだアイギスの盾の効果時間中だ。相手にダメージが返っていく。
だがしかし、そこでアイギスの盾の効果時間が過ぎてしまったのか、私を守る盾がなくなったのだった。
そこに、蹴りが飛んでくる。
私の体力がごそっと削れた。私は影魔法を使用しようとしたとき、異変に気づく。
というのも、MPがなくなっていた。これじゃ……。
私は木に背中を打ち、止まる。
回復しようと、アイテムを探ったがなかった。あのヘラクレスで全部使い切って、且つ、回復も何もしてなかった。
拠点に戻ったら回復するが、それはあくまで自分の拠点。
私としたことが……。
私の動揺は凄まじく、こんな時にも詰めがやはり甘い。私は、こんな自分を恨めしく思うしかない。
私の目の前にはファンファンの巨大な足が迫っている。
ああ、私はここで死ぬ。
久しぶりにキルされるのだ。体力も残り少ない。MPもカラッカラ。
諦めの境地だった。私はこんなもんだと悟る結果となってしまった。
悔しい、とは思わない。
私はこんなもんなのだから……。
「させっかよォ!」
と、横やりが入った。
胸をスポブラだけで覆い、腹筋が割れている女の子。褐色肌で鼻には絆創膏のようなものが貼られている。
「君は……?」
「あたしゃマホカが所属するグループ、ホワイトマシュマロの特攻隊長、ウルフだぜ!」
「マホカの? なんでここに?」
「マホカと出会ってよぉ。シグレって可愛い子と出会ったから見てきなよって言われてさ。見に来たんだ。可愛いじゃん」
と、私の顎をくいっとする。
「気に入った。あたしも戦ってやるぜ。まずは回復しろよ」
と、ポーションをポイッと手渡してくる。
「あんたもつえーんだろ? あたし一人でこんなバカでかい魔物は無理だぜ」
「……そこまで強くは」
「あんたの活躍は耳にしてるぜ。あんな芸当、そんじょそこらのやつに出来るわけねーだろ? 自分に自信持てよ。ほら、共闘すっぞ」
と、ウルフが拳を構えてファンファンを見据える。
私はポーションを使う。
「悪いけどMPはもう残ってないから、己の武器一つでやるしかないからな。あくまで私は後衛だ。メイン火力はお前に任せる」
「オッケー! 任せとけ!」
私ももうちょっと頑張ろう。




