巨大ファンファン戦 ①
あけましておめでとうございます。今年も作者の作品と作者ともどもよろしくお願いいたします。
チンチロリンも楽しみ、一息ついた。
「で、てめえらはログアウトもしねえでなにしてんだよ?」
オーツのその問いに答えたのはマホカだった。
「夏休みの思い出集め!」
「ああ? マホカてめえそんなの興味ねえって言ってたじゃねえか」
「シグレさんはあるらしいんだよ! めっちゃポイント集めなくちゃいけないらしくてね! 協力してあげてるの!」
私が付き合わせているからな。
「なるほどな。じゃ、俺も手伝ってやろうか?」
「いいのか?」
「ああ。俺もそこまで夏休みの思い出集めには興味ねえからな。俺の好きなチンチロリンにも付き合ってくれたしやってやるよ」
「ありがとう!」
「だが、ポイントって譲渡できねえんだろ? 俺のほうでほしいものを交換すりゃいいのか?」
「うん。私が欲しいのは……」
私が欲しいのは進化の秘宝と完全体への輝石だと伝えると、ちょっと険しい顔になった。そりゃ集めるポイントがポイントだからな……。
そして、完全体への輝石に関しては最低でも三つということなのだ。集めるのに相当苦労するだろう。
「ま、やるっていっちまったしな。やるしかねえな……」
「別にきついのなら無理しなくてもいいけど」
「いや、女に二言はねえ! 俺もやる! やってやるぜ!」
と、やる気になっているようだった。
なんだか申し訳ないな。
「いくぞ! 呑気にしてる暇はねえんじゃねえか?」
「あ、そうだね」
「俺は海のほうで敵とか倒してみるからてめえらも別行動だ。同じ場所で狩ったら効率が悪いからな」
「おっけー! じゃあ私はぁ、森のほうでセミさんと戦うーーーー!」
「あ、じゃあ私ファンファン?」
「そうなるな! いくぜ!」
私たちはマホカのグループの拠点を飛び出し、各々の狩り場へと向かったのだった。
私は再びファンファンと戦うことになるらしい。平原のほうに向かうと、先客が割といる。ファンファンも歩いてはいるが、目についたプレイヤーが倒しまくっている。
ハイクラウ山のほうがやっぱり効率が……。いや、あそこにいくのは正直な……。面倒という気持ちがちょっとだけある。
「私も目に付いたやつから倒していくしかないか」
私は一人で平原を闊歩する。
すると、突然、影ができた。私は、なぜここが影に覆いかぶさっているのかわからなかったが、上を見るとなんとなく理由がわかった。
私は影魔法を使用する。
私の上から何かが降ってきた。
それはでかいパンダ。ボス個体のファンファンだろう。白黒模様の巨大なファンファンが私を踏みつぶそうと降ってきたのだった。
私は影から出て、弓矢を構える。
「グラアアアアア!」
と、バカでかい咆哮をあげた。
そして、巨大な扇風機で風を巻き起こす。正直、立っているだけでもちょっときつい。吹き飛ばされそうなくらいの風が巻き起こる。
「なんでいきなりこんなのに出くわすかな……」
ついてねえ。




