えげつない
遺跡の外で私はファンファンを狩り続ける。
流石の私も運を使い果たして来たのか知らないが、銅メダルしか落ちなかったり。
うーん。もうちょいすんなり集まると思ったけど。ま、こんなもんか……。
討伐しながら考えていた時だった。
私の足元に矢が突き刺さった。私は思わず周囲を見渡す。どこからか狙撃されているな。
だがしかし、初手で外したのはミス。
「私をキルしようってのか……。最近こういうのないとは思っていたけどな」
矢が突き刺さっている方向、飛んできたのはあちらの向きだ。
銃弾と違って矢は狙撃をミスしたら狙撃手がいる場所を知らせやすい。一発で決めねば返り討ちに合う。
角度や向きを見てあっちだな。
私は弓を構え矢を放つ。
遠くで誰かが落ちる音が聞こえた。逃げようとしているのか茂みをかき分ける音が聞こえる。
外したか。まあしょうがない。
狙撃するなら一発で。
「次は決める。逃げた先、音を推測するに……真っ直ぐ逃げてるな」
私は煌雨の弓の弦を思いっきり引っ張った。そして、解き放つ。
矢は真っ直ぐ飛んでいった。私も茂みをかき分け後を追う。
すると、男の子プレイヤーに当たったのだった。
「クソ! なんでだよ!」
「こどもかよ」
一撃で死んだわけではない。割と防御高めだなこいつ。こういう狩人職は基本防御に薄いが……。
それか、ダメージを半減するスキルでも持ってんのか?
「まあいいか。トドメでもさしてやろう」
「ぼ、僕はこどもだぞ! 手を出すのか!」
「子どもだろうが大人だろうが関係ないでしょ? 子どもっていうことを免罪符にするなよ」
私は矢を構える。
「それじゃ、バイバイ。クソガキ」
私は矢を放ち、狙撃。
男の子はそのまま泣きながら消えていく。クソガキって煽ったからまた報復にくるかな。そしたらまた返り討ちにしてやろう。
「それにしても……あの子どもがあそこにいたってことはたどり着いた人もいなくはないってことだよな」
ここもじきに溢れるのか? いや、普通ならばここは効率悪いし来ないはず。
しばらくはファンファンをここで狩り続けようと思うが……。多少の不安はあるな。
なので。
「スイーピー!」
私はスイープバタフライのスイーピーを呼び出す。
「スイーピー、ここ周辺の見張りを頼んでいい?」
そう頼むと空中で一回転。
了解ということだろう。そして、スイーピーは山の周辺を飛び始めたのだった。
誰も近づかさせてはならない。ここは私の……。こういう独占欲が身を滅ぼすのだろう。
まあ、それでも構わん。すでに身は滅んでいる。
スイーピーは見回っていると、羽を大きく羽ばたかせていた。そして、何か粉のようなものを振り撒いている。そのまま風を起こし押し出すとそのプレイヤーは落ちていったのだった。
「え、えげつねぇ……」
寝かせて突き落とす。極悪人……極悪モンスターだなおい。




