人助けってことで
伯爵のもとに帰る。
「伯爵様、馬を連れてきました。あと、生存者一人」
「……っ! ネオンっ! ネオンは無事だったの!?」
「メルナ? と、旦那様とエドワード様……。生存者ってもしかしてこの三人ですか?」
「君を含めて四人だな。よかった」
と、伯爵は少し安堵したような感じだった。
「ネオンは何で無事だったの?」
「そりゃ……馬小屋当番だったし屋敷のほうに行くのサボってたから……。ってこれいっちゃ怒られるっ、旦那様、今の聞かなかったことに……」
「構わん。サボっていたおかげで助かったのだ。今回は大目に見よう」
と、伯爵は優しそうに笑う。
「では、領地に行くとしよう。シグレ殿はどうする?」
「私ですか?」
「ついてくるか?」
「……それじゃ、ついていきます」
「誰かの馬に……。エドワード。私と……」
「あ、私飛んでいくんでいいですよ?」
「ああ、有翼人だったな」
有翼人?
もしかして、この人、有翼人と認識しているんだろうか。となると、街の人がそこまでこの翼に反応しないのって有翼人だからってこと?
となると、この世界に有翼人という種族がいるんだな? それも、人が知っているくらいの認知度で。
「有翼人いるんだ……」
「違ったのか?」
「あの、旦那様。その人は天使様です」
「……ええっ!? なんで天使様がグループなんて作ってるんだ!?」
「いや、違う種族の友達に誘われて参加してたんです……」
天使だと思われていたらもうちょっと対応違ったのだろうか?
「誠に申し訳ない天使様! 私はてっきり有翼人だと……」
「有翼人いるんですね」
「今はほとんど見かけなくなりましたがね……。本当に申し訳ない」
「いや、別に気にしてないですけど……」
私は翼を広げる。
《新たなエリア:メジスト公爵領、チタン侯爵領、ルメル伯爵領 が解放されました》
というアナウンスが聞こえた。
「まぁいきましょうよ。私はついていくんで」
「わ、わかりました。領っていっても王都には近いところにはありますが……。では、まいりましょう」
「あの、父上。僕一人で馬に乗ってもいいんですか?」
「それも練習だ。天使様に頼んでゆっくり行かせてもらおう」
「あ、ゆっくりいくんですか? いいですよ。道中、魔物が出たら護衛として戦うんで……」
「……申し訳ありませんな」
「いえ、まぁ、人助けの延長ってことで」
新たな任務を自主的に課す。ルメル伯爵護衛任務。
次々と何かしていなきゃ今日のことを思い出してしまいそうだからな。
「助かる。では、今日は王都の外ぐらいまで出て野宿にしよう。夜も遅いからな」
「はーい」
「では、まいろうか」
と、伯爵たちは馬を走らせたのだった。
私も翼を広げ、伯爵たちが走らせる馬についていくことにしたのだった。




