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幽霊の正体を見破れ ②

 案内された厨房はいたって普通だった。

 どこも変なところはなく、幽霊なんて出そうもない。ただ、幽霊って水回りに基本出るため、今は違和感がなくても……というのはよくある話だ。

 私は厨房でじっと待っている。午後十時を過ぎた。


 おかしいところは今のところない。


「気のせいだった……ってオチか?」


 私が目をそらした瞬間だった。

 突然、冷蔵魔道具の扉が開いた音が聞こえた。私は急いでそちらに目を向けるも誰もいない。冷蔵魔道具の扉がひとりでに開いていた。

 私は思わず近づき、冷蔵魔道具を閉める。建付けが悪い、とか開きやすくなっているとかそういうわけじゃないようだ。


「……本当なのか?」


 私は再びその場を離れる。

 勝手に開くようなものじゃない。誰かが意図的に開けたのだが……。いったい誰が? 私はそう思いながら見張りの位置に戻ると、突然背後から誰かが声をかけてくる。

 私は振り返ると、小さい男の子がいた。


「おねーさん、誰ですか?」

「あ、私? 私は君のお父さんに雇われた幽霊騒動を解決しようとしてる人だよ」

「天使のおねーさんがきてくれたんですか?」

「ん? あー、そうそう」


 私は小さい男の子と話していると。

 再び、冷蔵魔道具の扉が開いた。またか? と思いながらごめんと男の子に謝り、そちらのほうに向かう。

 だがしかし、違和感に気づく。


「……さっきもこれが開いたんだよな。厨房で霊障が起きてるっていうのならこれが開く以外のこともやりそうなものだが」


 もしかすると、ここから移動できないのか?

 私は冷房魔道具のあたりを詳しく調べてみることにした。その時だった。


 ぐー。と誰かのお腹が鳴る音が聞こえた。その直後、声が上がる。


「も、もーだめです坊ちゃま! 隠しきれませんよ!」

「……へぇ」


 私は声を上げたほうを見ると、冷蔵魔道具の下にある床下から声が聞こえた。私は床下を開けていると、メイド服を着た女性が隠れていた。

 私はなんとなく察した。


「ばれちゃったのーーーー!?」

「申し訳ありません……」

「むーーーー」


 ……私はなんとなくわかった。

 この幽霊騒動が。というのも、この騒動を仕掛けた犯人はこの男の子だろう。私は近づいてきた男の子に目を向ける。

 私はそのまま男の子に話しかけた。


「私はシグレっていうんだけど、君の名前は?」

「エドワード・ルメルっていいます」

「エドワードくん。これは君が仕掛けたんだね?」

「……うん」


 私はエドワードくんの頭をなでる。


「だって……僕が解決したらかっこいいし、お父さんももっと構ってくれると思ったから」

「ふぅん」


 私はちょっとだけ残酷なことを言おうかな。

 

「でも、この女の人がやったってことがばれたらこの女の人が処罰されるかもしれないんだよ?」

「……ごめんなさい」

「あ、謝らないでください坊ちゃん。私が進んでやったことなので!」

「でも……」

「処罰されたらされたです!」

「……ごめんなさい」


 と、私に対して謝ってきた。

 私は溜息をつく。


「君の父さんは構ってくれなかったの?」

「うん……。仕事が忙しいみたいで……声かけたら苦労増やすかなって……」

「なるほどね……」


 仕事に翻弄される父を見て、構ってほしいけど声をかけづらかった。だからこそこの幽霊騒動を起こして僕が解決すれば褒めてもらえて構ってもらえると子供心で思ったわけだ。

 マッチポンプ。ばれたらどうしたんだということになる。


 いや、ばれる算段じゃなかったんだろうな。

 父が幽霊騒動を聞いて、私を雇ってしまったっていう大きな誤算があった。だからばれてしまった。


「ごめんなさい……」

「いいよ……。でも、このことは自分で言いにいこっか。ほら、メイドさんも出て」

「はい……」

「いったいいつからそこに……」

「えっと……昼過ぎから……」


 昼過ぎから床下で待機してたの? なんで?


「なんで?」

「えっと、エドワード様がたまには昼も夜も起こしたいというので……」

「……なるほど。ご飯は食べてたのか?」

「食べる暇がなく……」


 エドワードくんはとんだわがままに付き合わせたもんだな。私は手を差し伸べる。


 私は地下からメイドさんを引き上げた時だった。

 突然、厨房に誰かが入ってくる。包丁を手にしたメイドだった。そのメイドはきょろきょろと辺りを見渡している。

 様子がおかしい。


「……あれ、臭い」

「たしかにあのメイドさんからものすごい臭いがしますね……」

「僕鑑定してみる」


 と、エドワードくんが鑑定スキルを使ったようだった。


「あれ、あんでっどって表示されるんだけど」

「アンデッド!? なんでこの屋敷内に……」

「見ツケタ」


 と、そのアンデッドメイドが包丁を手にし、こちらに距離を詰めてきた。私は立ち上がり、光陰の矢を構える。

 私は光陰の矢を放った。矢はゾンビに突き刺さり、吹き飛んでいく。


「とりあえず安心が確認できるまで私から離れないこと!」


 この屋敷で何が起ころうとしているんだ?









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