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大きな木の上には

 ゲームに私はログインした。

 しばらくあいつらはログインできないだろうからしばらくは私一人でやることになるんだな……。


 ゲームにログインすると、グライドからメッセージが届いているのに気づく。

 内容はというと、ログイン出来たらでいいから今日、港町アクアラインの郊外にあるでかい木の下に来てくれないかということだった。

 送ってきたのは一時間前。ログインする前に送ってくるたぁ……。


「いろいろと楽しめるような心境じゃないんだけど……。用事があるってことだから行ってみるか」


 私はグライドが指定した場所に向かう。

 ヴァルハラ国の港町アクアラインの郊外には大きな木がそびえたっており、大きな目印となるので、渋谷の忠犬ハチ公像の前のように待ち合わせ場所にはぴったりだ。

 私は大樹の下に向かうとグライドが待っていた。


「なんだよ用事って……。今そこまで戦える心境じゃないんだけど……」

「あ、そうなのか? 悪い……。そんなときに呼びだしちゃって」

「いや、いいけど。で、なにやるの?」

「いや、この大樹の上、気にならないかって」


 そういうことか。

 私を呼んだのは空を飛べるからだろうな。この大樹の上……。たしかに気になる。だがしかし、登るにもこの大樹を一気に登るのは無理だろう。木登りの達人でも無理だ。

 だからこそ、飛べる私の出番なんだろうな。


「わかったよ。じゃあ確認してくるよ」

「の前に……なにがあったんだ?」

「……私なんかつらそうに見える?」

「見える」


 ばれてるか。


「その、友だちが毒ガスで死にそうになっただけ」

「待てそれ結構な事件じゃ」

「じゃ、いってきます」


 私は空へ飛びあがる。

 一気に大樹の上に登っていった。そして、枝につかまり、私は枝に飛び乗る。こっから先は枝を飛び移るしかない。

 この密集した枝の中を飛べるわけがないからな。私の翼はでかいし。


 木の枝を飛び移って周りを見てみるが、なにもない。

 本当にただの大樹……ってわけでもないと思うんだが。私たちの拠点となっているあの桜の木も精霊が宿り、サイクロプスが守っている。この樹齢が高そうな大樹もそういった精霊が宿っていそうなものだが。

 

 私はとりあえず、一番てっぺんまで登った。すると、宝箱が一つと、木の枝に刀が刺さっている。刀を引っこ抜き、宝箱を開けてみた。

 中には、なにやら変な宝石が入っている。アメジストのように紫色なのだが、妖しい光を放っている。私は宝石を眺めているが、なにもない。

 

 あとで鑑定スキル持ってる人に鑑定してもらいたいが、信頼できる人じゃないと……。ぽんぽこが復帰したら頼もうかな。

 ただ、この刀とこの宝石以外は何もないようだった。私はそのまま、大きく助走をつけ、木の葉っぱの茂みをつっきる。

 私の体が空に放り出され、私はそのまま重力に従って落ちていく。羽を広げ、空をそのまま飛び、グライドのもとに着地。


「この刀と宝石しかなかったわ」

「あるにはあったのか」

「うん。だけど一見普通の宝石と刀なんだよね……」

「刀は割と強い武器じゃないのかこれ。終盤で手に入れるような性能してるが」

 

 と、刀を鑑定したらしくそういっていたグライド。


「ただ、宝石に関しては鑑定できないようだ」

「まじで?」

「ああ。それがなんなのかは調べたいが……。鑑定できないとなると、この世界のどこにも情報はないか、それとも王城にしかないのか……。どちらにせよ今調べるのは不可能に近いだろ」


 グライドの言う通りだろうな。

 鑑定できないとなるとそれ相応のレアもの。何か重要なものだと思う。それを調べるには最低でも王城のような重要な資料を置いてありそうな場所しかない。


「とりあえず、その二つは持っておいたほうがいいな。俺も刀は使わねえしもっとけよ」

「私が?」

「ああ。お前が見つけたものだしな」


 ……別にグライドが持っていてもいいと思うけど。

 ま、しょうがない。私が持っておくか。










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