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目覚める四人

 あれから二日が経過した。

 まだ、誰も意識を取り戻さない。唯一、仕事で外に出ていたミノルの父さんだけが無事。

 真田さんの家族、ミコトの家族が病院に来訪していた。


「茶子ぉ……。いいから早く目を覚ましなさい……」

「……尊。お前はそんなに弱くないだろう」


 と、それぞれの両親がそれぞれの手を握り、声をかけていた。

 すると、奥の方で誰かが体を起こす。それはハルサメだった。ハルサメはふらつきながらも目を覚ましたようだ。


「ハルサメ!」

「……倒れていたのでありますか」

「そう!」


 ハルサメが目を覚ました。

 ハルサメは深く息を吸う。そして、たちあがり、私の方にやってきた。


「自分は毒は慣れてますので。早く目が覚めたのでしょう」

「……そっか」

「あの荷物……。あの荷物が多分原因でありますな」

「……ああ。あれから塩化ガスが出ていたって」

「……自分は恨まれてるのでありますな。人を殺しておいて言うのもなんではありますが」

「…………」

「とりあえず、今はみんなの回復を願うほかないであります。自分は毒には耐性がありましたが……。ミノル殿たちは……」


 平和な日本で暮らしていたんだ。あるわけがない。

 まだ心臓は動いているらしいが、助かるかどうかはわからない。

 ハルサメ、椅子に座り、ミノルの横に座る。


「…………」


 静けさが逆に辛かった。

 ミノルがこうも静かだと、なんか嫌だな……。ミノルはもっと元気でいてほしい。

 ミノルのことだから実は寝てますとかないかな。そうだと信じたいが……。


 すると、どこかからいびきが聞こえてくる。


「……?」

「…………」


 ハルサメが立ち上がり、ミノルの口元を確認すると。


「……ミノル殿がいびきをかいて寝ております」

「お前かい!」

「んんんんーーー、暑いーーーー…………」


 と、布団をどかし、腹を見せて眠っていた。

 こいつ……。こいつはそう簡単に死なないな……。私がホッとしていると。


「はーっはっは! 僕、復活!」


 と、勢いよく立ち上がり、ミコトはベッドの上に立っていた。

 ミコトはそのまま高笑いをしていた。


「はーっはっは! どうなるかと思ったが助かったようだ! というのも、シグレくんの気持ちが聞こえたからね!」

「私の?」

「夢かもしれないが、私のところには来るなとシグレくんが言っていたんだよ。君の想いが僕にも伝わったんじゃないかな? 劇的だね」

「…………」

「真田くんもそろそろ目が覚めるからだろうさ!」

「…………あの、そう言われると起きづらいんですけど」


 と、ゆっくりと上体を起こす真田さん。


「私も夢見てました。シグレさんが私にくるなって……。それで、目が覚めました」

「はっはっは! 不思議なこともあるものだね! 夢の中で四人一緒に歩いてたんだよ。暗闇の中を」

「…………」

「そしたら、君が現れたのさ。君が僕たちに来るべきではないと。これはオカルトの話だが、既に死んでいる君は生死の境を彷徨っていた僕たちの意識に入り込んだんじゃないかな?」


 随分とオカルトだな。

 だがしかし、助かったのなら別にいい。


「茶子!」

「わっ、お母さん恥ずかしいよ……」

「……起きろミノル!」

「わっ! もう登校時間!? やばば!! ってあれ?」


 ミノルも飛び起きた。

 四人、無事なようだった。


「うちなんで病院にいるの???」

「毒で倒れたからな」

「毒!? アポトキシン!?」

「小さくなってないだろ……」

「ほんとだ! ってことはにゅーいんしたから学校休み!?」

「そもそも明日から夏休みですけど……」

「んなあーーー! もしかして無駄にしてる夏休み!?」


 起きてから騒がしいな。








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