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こんな風に

 港町についたミノルはついたー!と手を大きく振り上げた。

 

「この国は何があるのかなー! たんさっくたんさっく」

「探索はすでに私は終えてるし……」

「そーなの? じゃあシグレなにするの?」

「何って言われてもな……」


 私は特にすることがない。

 

「私は買い食いでもしてるかな……」


 食ってる余裕はなかったからな。

 私がそういうと、じゃ、いったん別行動ー!と元気よく仕切るミノル。すると、ハルサメが手を上げる。


「申し訳ありませんが自分はシグレ殿と行動してもよろしいでありますか?」

「あら、探索しないの?」

「はい。その、シグレ殿と一緒に食べ歩きたいのです」

「うん、わかった! いーよー!」


 ということで、私はハルサメと行動することになった。

 ハルサメとミコト、ぽんぽこは探索に向かい、ハルサメはここに残る。


「で、なんか私に言いたいことあるのか?」

「いえ、その、恥ずかしいのでありますが、自分、食べるの大好きなのであります」

「……そうなの?」

「はい。で、シグレ殿のチョイスは本当に外れがないので今回、ぜひついていきたいなと」


 なるほど。食べたいがために。

 私は納得し、広場のほうに向かう。商店街というか、屋台がずらっと並ぶ屋台街というところにやってきた。

 野菜だったり、新鮮な魚だったり売っており、もちろん食材だけではなく料理も置いていたりする。


「スペアリブあるじゃん。これ食べよう。おじさん、これふたつ」

「あいよ」


 私とハルサメは屋台のおじさんからスペアリブをもらう。

 じゅうじゅうとうなっている焼き立てのスペアリブ。骨の部分を持ち、かぶりつく。甘辛い肉。ぷるっぷるの脂身。これが肉よ。これが肉。

 

「ジューシィですごい美味しいであります」

「だろ? こういう肉の料理は外れないんだって」

「ですな。この焦げもいい味だしております」


 そうそう。

 この少しだけ苦いちょっとした焦げも美味しい。美味い。本当に美味しい。

 私はこのおいしさを堪能していると、あちらからは焼きとうもろこしのにおいがする。私はハルサメに今度はあれと指さして、連れていく。

 そして、とうもろこしを受け取った。


「丸々一本……! いただきます」


 私はとうもろこしにかぶりついた。

 塗ってあるたれがマジ美味い。そして、とうもろこし自体の甘味、これがもううまいんだ。ザ・夏って感じがして今の時期には本当にちょうどいいね。そろそろ現実でも夏休みだしね。というか明日からだったような。

 まあどうだっていいか。


「とうもろこし甘いでありますな。茹でもつい先日いただきましたが焼きもこれはこれで。自分は焼きのほうが好みであります」

「私も焼き。ちなみにミノルはとうもろこしが嫌い」


 コーンポタージュとかも飲まない。あいつは。


「このまま夏堪能してるし、この後も夏だな。あそこに貝を焼いたものがある。あれはうまいぞ」


 次の屋台は貝。

 ホタテのような貝を火の上に置いている。そして、親父さんがなにか醤油のような液体をかけると、その醤油が沸騰し、蒸発していく。

 私はふたつ注文すると、箸と皿の上に乗せられた貝を手渡された。


「あいよ、テタホ貝のせうゆ焼きね! 皿と箸は返してくれな!」

「はーい。じゃ、いただきますか」


 私はテタホ。多分ホタテだろう貝を箸で触れてみる。

 貝柱はすでにはがされており、私はホタテの身を持ち上げた。ホタテの紐の部分などはきちんと切られており、貝柱、紐、白子というような食べやすいサイズ。

 私はまず貝柱。


「…………」

「どうだ?」

「感動ものでありますな……。自分、いつも兵糧食のようなものしか食べてこなかったものでありますから。こういう普通の食事というのはやはり……」

「あー、戦争ってそういうものか」


 食事している暇も惜しいものか。

 それに、戦地ともなると食糧の確保さえままならないこともあるだろう。作物を育てられるわけもなし、ほかから持ってくることしかできない。が、その持ってくることでさえ厳しい状況になるときもあるだろう。


「自分がいた国は満足にこうやって食べられませんでしたから。平和ボケしている自分に少し驚いてるであります」

「……ならもっと平和ボケしろよ」

「そうさせていただくであるとします」


 私はホタテをもう一枚注文した。

 くう、しょっぺぇ。







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