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タトゥー

 ミノルが乗っているであろう船に私は降り立った。

 ミノルが甲板の上で飛び跳ねている。ミコトは船首に立ち、風を浴びていた。


「よう」

「シグレーーーー!」


 ミノルは思いっきり抱き着いてきたのだった。

 

「シグレかわいーーーーーー!」

「だろ? あ、ハルサメ。これ貼ってみろ」

「星、ですか?」

「そ」


 私はハルサメにタトゥーシールを手渡すと、ハルサメはほっぺたにペタッと貼っていた。赤い星のタトゥーシールなのだが、よく似合っている。

 私は今度はミコトに小悪魔タトゥーシールを手渡す。


「ほう、なかなかセンスがあるじゃないか! この僕が悪魔に! いいねぇ」


 と、ゴスロリ少女がよくしているような目の下に悪魔の翼のタトゥーシールが。

 うん、似合ってる。ミコトはこういうパンク系なのが似合うと思うな。そして、私は今度はぽんぽこにブレスレットを手渡す。


「ぽんぽこには悪いんだけどぽんぽこに似合うもんが見つからなくてね」

「まぁ、私は皆さんほど見た目がいいわけではないので……」

「そのおっぱいのせいなんだけどな」

「おっ……」

「どうもおっぱいがでかいと可愛いものが逆にかわいさを減少させるっていう……」

「……まさかこの胸が弱点になるとは」


 少し悔しそうにしているぽんぽこ。


「ねね、うちには、うちにはーーーー!」

「ちょ、揺さぶるなって……」

「うちにはないのーーーー!」

「あるから離せ!」

「わーい」


 私はミノル用に買ったタトゥーシールを渡す。

 ミノルは雫のようなタトゥーシール。それを目の下に貼って泣いているかのようなタトゥーが入った。

 ミノルはうぇーい!と喜んでいた。


「顔にワンポイントあるだけで印象変わりますね……。本当に今どきって感じがします」

「そりゃこういうタトゥーって嫌がるもんみんな。ピアスだって開けたことないだろ?」

「シグレさんはあるんですか?」

「ある」

「そういやシグレすごい可愛いピアス付けてたよねー」

「そうそう。ま、ちょっと怒られたけど」


 あの暴行事件の後は本当に荒れに荒れて、ピアスにも憧れてピアッサーで耳に穴をあけてピアスを付けたり、イヤリングなどで少しかっこつけていた。

 最高にパンクでちょっとよかった。


「ぽんぽこは服装一本で勝負出来てるからいいし、それに、真面目だろ? 真面目な奴ほどピアスとかって似合わないんだよ」

「シグレさんも真面目なほうですよね……?」

「昔はね」


 今はそうでもない。


「はっはっは。シグレくん見たまえ!」


 と、ミコトのほうを向くと、黒いマスクを着けていた。


「ロックバンドの人みたいだろう?」

「すっげー。パンクじゃん」

「タトゥーだけでこれほどまで変わるんでありますか。見た目って恐ろしい……」

「そういうハルサメも似合ってるよ。漫画のキャラみたいで」


 こういうキャラいたなぁ。

 

「うちもこれかわいーっしょ! やっぱシグレイケてるーーーー!」

「まぁな」

「だが、こういうので若者が嫌な目で見られるんだろうな」

「そりゃみんなタトゥー嫌がるからね」


 タトゥーを彫っているだけで苦労することが多い世の中だ。私は自分の肉体があってもこういう入れ墨はシールだけで我慢するし、なんなら自分の家でファッションとしてするだけにするし。

 入れ墨は社会的弊害も多いから困るよね。


「それより見えてきましたよ。大陸が……」

「おーーーーー! たーのーしーみー!」

「そこまで楽しみにするほどじゃないけど」

「ネタバレ禁止ーーーーー!」


 ネタバレになるのかこれ。







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