ワイトフール
ワイトフールというゲームの設定は古代人が残した兵装というものがあり、その兵装を使って世界を駆け抜けていくシミュレーション型のゲーム。
空を飛ぶ兵装や、火を噴く兵装などがあり、兵装によってできることが異なる。
兵装を手に入れるにはダンジョンを攻略する必要があり、ダンジョンにもランクが存在する。
「あー、懐かしいこの感じ。こっちでも武器は弓矢だったよなー」
私がログインしたのは古代樹の社という場所。
最後にログアウトしたのがここというのもあるが、ここはもともと私とミノルで作っていたギルドの拠点となっていた。
この場所で久しぶりにログインするので忘れているところもある。
「よし、とりあえず感覚を思い出そう」
私は武器を持つ。
弓は弓だが、これは電脳の弓といって、サイバーな弓。矢は光の矢のようなもので、弾速はものすごく速い。が、追尾性能が皆無で、障害物に当たると破壊もせずなくなってしまうという、強いが扱いずらい武器として有名だったものだ。
始めたての頃は当てるのに苦労したが、エイム力はこの弓で鍛えられた。今の弓矢もこのの弓矢を使ってなければマジでできなかっただろう。
「よし、兵装起動。飛翔の兵装」
私はしゃがみ、くるぶしにあるボタンを押す。
足の装備から翼が生え、私はそのまま空を飛んだ。実は翼はないが、このゲームでも空を飛べる。リミルドとは違い、翼ではなく歩く感じの飛行だが。
私は空を飛び地上を観察する。
地上にはプレイヤーが築いた街があるが、放置されすぎて廃墟……とはなっていなかった。今もなお街としての機能があるようだった。
店が並び、モノを売っている人もちらほら。
「儲かってますかい?」
「全然。前作なんてまだ閉じ込められてる人か俺みたいな物好きしかいねえから賑わいがねえ!」
「ですよね」
「お嬢ちゃんは新規……には見えねえな」
「新規ではないですよ。最近やってなかっただけで」
「お嬢ちゃんもリミルドのほうにいったのかい?」
「まぁ、こっちもこっちで楽しいんですけど、友だちがあの事件でトラウマになって」
「あれはトラウマになっても仕方ねえ事件だった」
だからミノルはやりたがらないのだろう。
「で、お嬢ちゃん何か買ってくか?」
「金ないんだよ。このゲームやってるときのスタンスが宵越しの銭は持たないっていうスタンスだったから金欠」
「あっはっは! そうかいそうかい! じゃ、金貯めてまた来な!」
というので、私は物を買うこともできない。
昔の自分は割と散在していたので、所持金がただいま535G。本当にない。薬草を10個買えるっていう程度の値段。
私は再び空を飛び、今度は森の中に入っていった。
この世界はダンジョン以外は魔物がいない。
ダンジョンに入って魔物を倒す以外に戦闘職は基本的に役立たない。ただ、ダンジョンというのはどこにでもあり、遺跡型のダンジョンや、海のダンジョン、洞窟のダンジョン、そして森のダンジョンがあったりする。
森のダンジョンの入り口に立つ。
「よっし、ソロでどこまでいけるかな。リミルドと感覚は基本同じような感じだし……。いけるかな」
この電脳の弓。これをどこまで扱えるかによる。
私は電脳の弓を持ち、警戒しながら進む。すると、目の前に腕を八本生やしたライオンが現れる。私は矢を放つ。
銃弾のような速さで放たれた矢はまっすぐライオンの目玉に当たった。レベルが低いダンジョンというだけあり、そのままライオンは消えていく。
「さっすがインフレ後の武器。威力はめちゃくちゃ高い」
あの魔物はゴウリキライオネルっていう徘徊ボスのような魔物だ。
徘徊ボスというのは途中から追加された要素であり、そのダンジョンに見合わないレベルのボス。そのボスすらワンパンしてしまうこの電脳の弓は一応は壊れ武器なのだ。エイムが難しいだけで。ホーミング性能皆無だし。
「これを機に少しエイムの練習しよ」
百発百中とまではいかずとも、九割は当てられるような。




