天蘭高校にて ③
お嬢様学校というだけあり、勉学もミノルが通っている高校とはレベルが違っていた。
大学でやるレベルのようなものもある。寒九は頭の出来がいいのかノートをとってはいるが、割と走り書き程度だった。
この部分は私予習してるけどさ……。むずいってこれは。
「えー、今日の午後からは他校の人が来ます。レベルこそ違うけれども、議論を交わし、身のある内容にしましょう」
「他校?」
「うちの学校、二年前くらいから他校とあらゆる議題で議論するっていう授業があるんだよ。他校からしたら天蘭とつながりができて、こっちも頭のいい会話ができるとか。こっちに魅力はないだろうけどな」
「へぇ。どこ高校と?」
「今年は……私立蒼春学園だったかな」
「えっ」
そこって……。
そこはもちろん聞き覚えがある。というのも、ミノルが通っている高校だ。
「一年生は一年生の数名と議論を交わすらしい。ただ、数名しか来ないからな……」
「……まぁ、さすがにあいつはこないよな」
と思っていた時期が私にもありました。
「あ、時雨ーーーーー!!」
「なんでいるんだよ」
私専用のでかいモニターが用意され、それに入っていた。
扉を開けて入ってきたのはミノル、真田さん、と、ほか数名。ミノルは私を見るや否や元気よく手を振る。
何で来るんだよ。
「知り合いか?」
「私の友達……。あいつバカのくせに何議論しようとしてんだ……」
「蒼春に通ってるってことは頭いいんだろ?」
「まぁ……やればできるって感じかな」
普段やらないんだよこいつ。
「あ、時雨さん。こんにちは。なぜここに?」
「これ私の……弟? でさ、暇だから連れてきてもらったんだよ。天蘭ってお嬢様とか通う高校だしな」
「あ、そういえば時雨さんってお嬢様……でしたね」
そう。忘れられがちだけど私お嬢様なの。いや、通ってないけど。
「で、議論を交わす授業とか言うけど……。ミノル、お前……」
「大丈夫ですよ。今回はプログラムの利便性についての議論ですから」
「あー」
「プログラムなら任せんしゃい! うち、電脳アバターを開発してるから余裕っしょ!」
「……まぁできなくも、ないか」
「あと、電脳アバターについても議論するとか!」
「ふぅん……」
そういうと、先生の合図が飛んだ。
それぞれが席につき、まずは自己紹介から始める。
「天蘭高校一年、夜桜 寒九。よろしく」
「同じく天蘭高校一年、西園寺 三美です」
「天蘭高校一年、多々羅目 真知子だよー。よろしくねー」
「えっと、蒼春学園一年、真田 茶子です。本日はよろしくお願いします」
「同じく一年、来栖 ミノルでーっす!」
「同じく一年、宍戸 真昼っす」
六人がそれぞれの自己紹介。
「最後、時雨さん」
「私も参加するんですか?」
「あなたは電脳アバターなんですから。この議論には欠かせません」
「はーい。私は夜桜 時雨。よろしく」
議論っていうのは私そこまで好きじゃないんだけど。




