嘘をつこう
マジであったよ。
私は、壁に埋まってる宝石たちを見る。宝石だけでなく金属も埋まっているようだった。
「すごい! さすがエミィちゃん!」
「マジかよ……」
私はピッケルを取り出す。
そして、試しに掘ってみると、確かに宝石が採取できた。エメラルド、ルビィ、ダイヤモンド……。さまざまな宝石が採れる。
「すごいな……。この狭い空間でこの量って」
「でしょ!? でも、ここはめーわくになるから掘り終わったら閉じよーね」
「そうだな」
それはそうか。
なら採れるものは採っていこう。私はツルハシで採取していく。
宝石は大体取り尽くし、あとは鉱石類となった。
鉱石類は割とそこまでレアじゃなさそうなやつと……。
「あの青々く光る鉱石ってレアな奴だよな」
あれ絶対レアな奴。だが、ツルハシを振るっても何も採取できない。
硬すぎるということだろうか。どうやって採掘しようか悩んでいた。採掘師なんていうフレンドはあいにく私にはいない。戦闘職と生産職しかいない。採掘師の知り合いも作っておくべきだったか。
これは採掘師でしか掘れない鉱石なのだと思う。
「こういう時は掲示板に……」
書き込んでもいいが、不特定多数が一気に押し寄せるのは嫌だな。
どうしたものか。欲を言えばこの鉱石は掘りたいが。
「エミィ、いつ此処を閉じる?」
「エミィたちが出たらすぐ閉じます!」
「ちょっとだけ出てすぐ戻るってのは?」
「ダメです! めーわくになるから!」
くっ。ダメか。
この鉱石を採れないのは少し残念だが仕方あるまい。だが、転んでもタダではおきたくない。
やれるだけやってみよう。ツルハシでなくても……。
「よし、掘るか」
「それ掘る道具じゃなーーい!」
「硬いんだ。煌雨の矢を打ち込むしかあるまい。大丈夫だ、金属には傷をつけない」
私は矢を構え、放つ。放った矢はまっすぐ飛んでいき、壁に当たり崩れた。
すると、突然揺れ出したかと思うと、その硬く青々としたものは掘れた代償に、建物が傾き始めた。
「だから言ったのにぃ!」
「……」
「まほーでなんとかするから! シグレはエミィを守って!」
「わ、わかった」
私はアイギスの盾を発動させる。
やらかした。エミィは魔法で修復を始める。私は落ちてくる瓦礫をアイギスの盾で防ぐ。
どんどんと地盤を整えていくエミィ。最終的に、建物がちょっと傾いたくらいで済んだ。
「…………逃げるか」
「シグレちゃん汗だっくだく……」
「いや、これマジでやばいもん。調子乗りすぎた……」
建物傾いてるし。中の人たちは何事だと見に来てるし。暗くてよく見えてないだろうけどこれはまずい。
何かいい手立ては……。
「エミィ、魔女って大抵悪役を務めることが」
「なんでエミィに罪被せようとするのー!!」
「…………」
「さいてー!」
「うぐぐ……」
どーしよ。どーしよ。
数件の建物が傾いた。崩れるのも今のうち……。あ、そ、そうだ。
「嘘で乗り切るしかないか」
「嘘はつけませんよ。シグレさん」
「うげ……」
「王騎士のイオリです。もう、わかりますよね?」
「…………」
「来てください」
「ふぁい……」
私は連行されていくのだった。何罪にあたるの?建物転覆罪?器物破損?
シグレの悪いところがでました。




