魔女っ子エミィ様
その地下を探すこととなったのだが、王都を適当に探索するとなると結構な時間がかかるよな。だがしかし、あやふやな情報である以上、しらみつぶし以外のいい方法がないというのもたしかだ。
都市伝説のように伝えられる王都地下の鉱脈……。
「王騎士たちに聞いたらわかるかな」
私は王騎士のところに向かった。
ルグレスさんが何やら机作業をしている。
「どうしたのであるか?」
「ん、あー、いや、都市伝説の結構レアな鉱石が採れる王都の地下を探してて」
「レアな鉱石が採れる王都の地下?」
「聞いたこととかありか、知らないですか?」
「知らぬであるな……」
知らないか。王都を隅々まで知ってそうな王騎士の団長も知らないか。
「そんな地下があるのならば私も把握しているはずなのであるが……」
「都市伝説はあくまで都市伝説にしか過ぎないということかな……」
「庶民の間ではそんな都市伝説が流行っているのであるか?」
「さぁ……」
私は紅茶を飲み干し、ありがとうございますとお礼を言って出ていく。
王騎士たちも知らなさそうだとすると、本当に便りがないな。この広い王都をくまなく捜査、なんてことはしたくないし。
あきらめるか……と思っていると、なんだか路地裏に見たことがある顔が。
「……魔女っ子エミィ?」
「あ、シグレちゃん!」
子供の魔女、エミィが路地裏で地面を見ていた。
「なにしてるの?」
「ふふん。聞いて驚いて。私はねー、王都の地下の鉱脈を探してるんだ!」
「……知ってるの?」
「ふふん。もちろん! だって、子供たちに大々的に告知したからね! でも、鉱脈が見つからなくてぇ」
……ああ、なるほど。知らなくて当たり前だわ。子供たちの口から伝わっているし、なんならこいつが噂を広めた大元凶。
じゃあ、今は鉱脈がないということだ。
「無駄足かよちくしょう……」
「どしたの?」
「いや、なんでもない……」
夢見た私が馬鹿だったかなぁ。
魔女っ子エミィはシグレも一緒に探そ!と袖を引っ張ってくるので、私も仕方ないので探すことにした。
まぁ、透視とかそういう能力はないので、探しているのはエミィだが。
「見つからないぃ!」
「ないんじゃないの?」
「占ったらあるって言ってたんだもん!」
占いかよ。まぁ、占いも侮れはしないが。ただやり方が縄文時代……。
いつになったら解放されるのだろうとか思っていると、突然エミィが叫びだす。
「あー、あったぁ!!!!」
と、元気よく跳ね、ここにある! と私に指さして教えてくる。何の変哲もない裏路地だが、本当にあるのだろうか。
すると、エミィは魔法を唱えた。そして、穴が開いた。私はエミィに連れられるまま、その地下に入っていくと。
「……嘘」
地下には多少の空洞があり、その壁一面に宝石や鉄鉱石などたくさん埋め込まれていた。嘘だ……。まじであるのかよ。
魔女っ子エミィ、すげえ。




