都市伝説の地下
人気者のミコトから何とか逃げてきて、私はリンドウのところに向かう。リンドウの工房に入るとリンドウはいらっしゃいと言ってきた。
「なんか依頼あるの?」
「いや、暇だから来ただけ」
「まぁ、今なんか感染症みたいなの流行ってるみたいですからね……。僕みたいな生産職ならまだしも狩りをメインにしてる人は大変ですよね……」
口を動かしながらも何か作っているようだった。
剣、だと思うもの。金づちで熱せられた剣をたたいている。
「それ依頼されたやつ?」
「そうです。前作でも鍛冶職人として有名だったので依頼してくれる前作プレイヤーが多くてですねぇ」
「やっぱ前作で有名だった人は今作でもそういう印象持たれるのか」
「みたいですねぇ」
リンドウはそういいながら剣をたたく。
すると、私の後ろの扉を開けてきた人がいたのだった。知らない男の人。鋭い目で、睨まれているような感じがする。
私は思わずつばを飲み込んだ。顔めっちゃ怖い。
「あ、すいません……。少し通してもらってもいいでしょうか」
「顔に似合わずイケメン声」
「よく言われます……。と、あなたは? 天使の羽があるということはもしかして……」
「あ、たぶんそのもしかしてですよ」
「あなたがシグレさんなんですね。俺はソードっていいます。その、職業は聖騎士です」
ソードという男は手を出してくる。私は握手を交わした。
「リンドウさん、頼んでいた剣出来ましたでしょうか」
「できましたよ。これですね」
「ありがとうございます」
と、リンドウはソードに剣を渡していた。
「あ、そうだ。リンドウさん。ちょっととあるうわさを耳にしたんですが」
「噂?」
「この王都のどこかに地下に入る階段があって、その地下にはレアな鉱石があるっていう噂です」
「……なんですかそれ」
「あくまで噂なんですけど……。なんかこういうのって見てみたくないですか? 一緒に探さないかという提案でして」
「……あります。探しましょう」
「はい!」
と、男二人がそういった話をして決まったようだった。
「私は誘われないの?」
「……そ、その、女性と一緒というのは少し気まずくて」
「うぶか」
その顔で初心か。
頬を赤く染めて私と目を合わせようとしない。さっき普通に握手しただろ。触るのはOKで目を合わせることはできないの?
「シグレさんもいきましょうよ!」
「お、女の子一人というのはまずくないですか」
「そんなこと私は気にしないけど。オタサーの姫だって気にしてないじゃん」
「あれは別の人類です」
それはわかる。モテたいがためにああいうオタサーの姫になりたいとは思わないよ。あれは思考回路がどうにかしてる別人類。意見が合うね。君とは。
ただ、このソードという男はミノルの弟と同じくらい女性に幻想を抱いていそうな感じがする。
「んじゃ、その都市伝説みたいな地下探します?」
「そうですね。思い立ったが吉日ですから!」
「いつになくリンドウテンション高いね」
「そりゃレア鉱石があるかもしれないんですよ!? テンションあがりますよ!」
まぁ、そりゃテンション昂るか。




