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君のお姉ちゃんじゃ抜けない

 携帯ショップに来ると。


「おや? ミノルくんも携帯の買い替えかい?」

「奇遇ですね」


 ミコトと真田さんもショップに来ていた。

 この二人が一緒に行動とは珍しいな。


「まぁ、ちょっとうちの携帯が壊れちゃったから」

「シグレさん大丈夫なんですか?」

「なんとか」


 ミノルは私が入ってる弟のスマホの画面を見せる。


「きゃあ! 生首!」

「体のデータが壊れたんだよ……。ミノルの携帯がウイルスに侵食されてさ……。まじで電脳アバターだからこの状態でも生きて居られてるけど」

「災難だったようだね」

「まじで災難! でもあれだけ強力なウイルス作れる奴は尊敬するね!」

「しちゃダメだろ」


 恨めよ。

 私は暇なのでごろごろと転がっている。体がないので移動方法が転がるしかない。


「よーし、うち決めた! ファイフォン19にするし!」

「それ一番高いやつじゃない……」

「それシグレ用にするの! だってシグレには高性能の使ってほしいし!」

「いや、普通のでいいよ。入れ物は……」

「……そうね。ミノル。いい?」

「もちろん!」

「え、マジで買うんですか?!」


 マジで買うの?

 ミノルたちはそういう話になっていた。くっ……。私のスマホが最新型なんて申し訳ない。ただでさえこんな風に迷惑かけてんのに……。


 すると、突然私が入っているスマホが揺れだした。電話が来たようだ。かけているのは田中と表示される。田中というのは多分弟君の友達だろう。

 すると、携帯ショップに勢いよく弟君が入ってきた。


「ちょっと、忘れてた! 姉ちゃんちょっと返して!」

「ん? いーよー」

「わりぃ!」


 と、弟君にスマホを渡し、弟君は友達からの電話をとった。もちろん私が中にいるので会話も筒抜け。

 どうやら弟君、そろそろ来る夏休みに友達と旅行に行く計画を立てているようだ。ただ、二人とも中学生だから田中君の親に連れていってもらうということ。その旅行の行き先はここにしないかという話。


『あと……例のエロ本手に入ったぜ』

「ちょ、バカ……。今言うなって!」

『あん? 俺とお前しか聞いてねえんだから大丈夫だろ?』


 私がいるんですけどね。それをもちろん弟君もわかっている。


「切るぞ!」

『ああ、明日、俺の家にこい。そしたら渡してやる。今度もうまく隠せよな』


 切られた。

 思春期だねぇ。私はちょっとにやついてしまう。親にエロ本を隠すなんて思春期真っただ中。弟君も中学生だねぇ。

 私も中学生の時から時が止まっているけどね。


「……秘密にしててください」

「いいよ。それにしても、思春期だね」

「…………」

「心配しないでいいよ。これは私と弟君の秘密だから。それに、今度もって言ってたってことは今も隠してるでしょ? 大丈夫。言わないよ」

「うぐ……」

「弱み握ったとか思わないからね。思春期だからエロに興味があるのは当然だし。まぁ、さすがに君のお姉ちゃんじゃ抜けないと思うけど」

「ば、ばば……」


 いきなり下ネタぶっこみすぎたか?

 だがしかし、姉弟でそういった感情はないだろう。弟君はミノルを少し鬱陶しがってる節があるしね。


「お、女がそう下ネタ言うんじゃねえよ!」

「はっはっは。そう怒鳴るなよ。女に幻想を抱くのも若いねぇ」

「う、うっせえ。姉貴だけが特別だと思ってたわ」

「世の女性なんてそんなもんよ。下ネタ言うの恥ずかしがるやつなんてぶりっ子ぐらいだって」


 きゃっ、恥ずかしいー、なんていうわけがない。


「戻るぞ!」

「へいへい」


 弟君は顔真っ赤にして……。少し可愛らしい面があるじゃんか。











今回の主人公、下ネタも直球で言ってしまう

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