表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/326

ウイルス

 レインオルトが大きな蛇を倒してしまった……。

 クエストクリアアナウンスが流れる。大きな蛇が原因でネズミは住処を追われて王都にきた。だがしかし、これでいいのだろうか。

 結局やったのレインオルトだし……。これが唯一のクリア方法、っていうわけでもないだろうに。


「ふぅ。やばいな、今の龍。雨でびちゃびちゃだよ」

「あれは雨神様だからね……」


 レインオルトが私を助けてくれたのだろう。


「とりあえず……これでネズミがこれ以上住処を追い出されることはないだろうし……あとは待つだけしかないか」

「そうだな……。俺運よく王都から出てたから助かってたけどよ、王都に入ろうとしても入れねえしマジで困るわ」


 そうだよなぁ。

 私もほぼほぼ命令を無視してきたようなもんだしな。空飛べる分私が一番たち悪い気がするんだよな。

 ま、でも元凶はやっつけたってことでいいですか。


「とりあえず私は王都に戻るよ。元凶を退治したって報告はしないとね」

「わかった」


 私は空へ羽ばたく。

 純白の翼を広げ、王都の噴水広場のほうに降り立つと、その様子をイオリさんが見ていた。イオリさんは私のほうに近づいてくる。


「どこいってたんですか?」

「ちょっと王都付近のマッキンリー山っていうところに」

「……封鎖していてもあなたは飛び越えていけますものね。それで、マッキンリー山にいったからにはそれなりの成果はあるのですよね?」

「そりゃね」

「ほう?」

「簡単に言うと、大ネズミが王都に来た元凶である大蛇を討伐しましたってこと」


 私は報告を終える。


「そのさ、ちょっと疲れたから宿で寝ていい?」

「わかりました。団長には私が言っておきましょう。お疲れさまでした」


 私はそのまま宿に向かい、ログアウトする。

 ログアウトするのはなんだか久しぶりな気がする。ここのところずっとログインしたままだったから現実に戻っていなかった気がするな。

 私はそのままログアウトを……。





 目が覚めると、スマホの中にいた。

 ログアウトして、すぐ目にしたのは目の前の惨状だった。というのも、ぐちゃあ、っとしたミノルの部屋の中。ミノルはすぐにログインしたらしく、制服もなにも床にほったらかし。


 あいつったらさ……。


「これじゃ休まら……」


 その時だった。

 私の体が一瞬ブレた気がする。スマホの中を見渡すと、なにやら紫色に染まっている。な、なんだこれは。

 私はその紫色の壁に触れてみると、私の指先が黒く染まり、崩れていく。


「……は?」


 私の指がなくなった……?

 これはまずい。多分ウイルスだ……。インターネットウイルス。それにしてもなんでこうなっているんだろう。

 私はなんだか徐々に侵攻している紫色から逃れるように遠ざかるが、壁にぶつかる。


「やば……。これ本格的にまずいじゃん」


 ログアウトするべきじゃなかった。

 こんなところで命の危機が現れるなんて嫌なんですけど。


「ふいー! 楽しかったぁ!」

「あ、ミノルログアウトしたな!」

「ん? どったの?」

「お前のスマホにウイルス入ってんだよ! あれに触れたら私死ぬぞ!」

「……んなぁ! ま、待って! 今から除去する!」


 ミノルはそういってすぐにとりかかってくれた。ふぅ。

 ……ま、私は死んだ身だから死にかかったというのもおかしい気がするな。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ