大ネズミ討伐
この水道は所々太陽の光を入れるためなのか穴があいてあり、進むには問題がないくらいに明るい。
けれど、明るい水道内だとしても雰囲気は異様に不気味だった。
「さてさて……藪から何が出てくるか……」
「ウサギさんだったらいいんですけどぉ……」
ウサギさんだったら楽だけど……。
水道を進んでいく。
「本当にあるのかな。なーんも見あたんないけど」
「見当が外れたか?」
ここに何かあると思っていたが……。私たちは歩きを進めるが何か起きる様子はない。
そして、最終的に奥の方まで来てしまった。奥の方は太陽の光がなく、暗くなっているが、それでも何もない。
「ちっ……見当違いだったか。無駄足だったな……」
「そ、そそ、そうでもないみたいですよぉ……?」
と、背後を振り返るとネズミたちが私たちを見つめていた。
赤く目を光らせてこちらを見ている。
「うおっ、いつの間に……」
「ね、ねぇ。このネズミたち……なんか変じゃない?」
「へ、へへ、変とは……?」
「なんか魔物みたい……」
私たちの後ろには赤い目をしたネズミたちが。今にも襲いかかってきそうにこちらを見ている。
すると、ネズミの一匹が私めがけて飛びかかってくる。私は皇帝スキルを発動し、矢を放つ。
矢が地面に突き刺さった。その時、雷が天井から突き放たれ、ネズミたちはまる焦げになっていたのだった。
だがしかし、これで全部殲滅は出来なかったか。
「カレン! 後何体いる!」
「え、えっとぉ……小さいネズミがあと二十とぉ……奥に指揮官みたいにネズミたちに指示を出している大きいネズミが一体……」
「大きいネズミ?」
カレンは索敵能力を持っているらしく、カレンが言うには奥に大きなネズミがいるのだという。
そんな大きなネズミ……。私は光の矢を放ち、奥に放つとその光の矢の光で姿が見えた。
「うわ……今のが……」
「あれ、すごい大きい……ってかあれ魔物だよね!?」
「魔物化したネズミかな」
奥にいたのは人間のような大きさのネズミだった。
そのネズミが私たちを取り囲んでいるような感じ。あのネズミは間違いなく魔物だろう。
ならば……。
「戦うしかないな。司令塔ぶっ叩けばとりあえずいいだろ」
「見かけによらず脳筋だね!」
「まあね」
やるしかないってんならやる。
私はネズミに噛まれることを覚悟で突っ込み、ギリギリ見えるところまで近づき、弓矢を放つ。すると、その大ネズミは水路の中に飛び込んだ。ネズミの汚れが広がっていく……。
「ヂュウ……!」
と、濁流が溢れてくる。
「ふぁ、ファイアー!」
横から火の玉が飛んできてそれを相殺。へりょすが汚れ広がる水の中に飛び込み、私の方目掛けて大きなネズミをぶん投げた。
「ありがたいね!」
私は最大威力の煌雨の弓で皇帝のスキルを使い矢を放つ。大ネズミは私の弓矢によって貫かれ、雷が落ちて焼け焦げた。
そして、そのまま魔物と同じように消えていく。ネズミたちもボスがやられて焦ったのか逃げ出そうと走り出していた。
「一匹も逃がさないっての!」
すると、カレンが何か魔法を唱えた。
水波がネズミたちを包み込む。へりょすは陸に上がり、なにやら魔法を唱えていた。
すると、へりょすの拳には雷。そのまま水の中に手を突っ込むと、ネズミたちは感電したように苦しみだし、動かなくなったのだった。
「掃除完了! これで幾ばくかマシにはなるかな?」
「だといいけど……」
なぜここに大ネズミがいたのか。そういう疑問は残るな。




