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伝言は確かに

 王都立貴族学園という学校がある学園区にやってきた。学園区でも人通りがなく、私は学園の中に入っても誰もいない。

 だがしかし、なんだか変な違和感があるような。


「おや、客人ですかな?」

「あなたは?」

「私はこの学園の学園長を務めております、ロック・ベアードと申します」


 学園長が空から突然現れた。瞬間移動のような感じで……。

 私は、キース・ティターンという王子様に用があると伝える。学園長は少し怪しんでいる視線をこちらに向けてきたのだった。

 この状況で王子に会いたいというのは不自然だろうからな……。私はルグレス騎士団長の名前を出すと、わかったと告げて呼びに行ってくれたのだった。


 数分後、言われた特徴の王子様が歩いてきた。


「……お前は?」

「私はシグレ。伝言を伝えにきただけです」

「伝言?」

「まぁ、伝言を伝える前に……王子様は学園の外で何が起きているかは知ってますか?」

「おおよそは知っているが……。の前に、お前は……天使か?」

「そうです。それはまあいいとして。王が危篤、ということを……」


 そういうと、王子様は私の肩をつかんでくる。


「それは本当か!?」

「え、ええ。多分その感染症にかかったのだと……」

「まさか父上が……。わかった。直ちに王城に戻ろう。原因もまだ探っている途中なのに……クソ。今年は次から次へと厄介ごとがやってきやがる!」


 そういうと、王子様は走りだす。

 これで私の役割は果たしたんだけど……。私も原因を探ってみるか。ペストはネズミが病原菌を持っており、ノミが媒介となって私たちにかかる。

 だからネズミの駆除とかは定期的にする必要がある。のだが……。ネズミが大量発生した原因を探らないと元も子もないな。


「さて、私もそろそろ……」


 すると、背後から剣が飛んできた。私は危なく躱す。


「な、なんだ?」

「侵入者だろてめえ!」

「は?」


 と、頬に一本の傷をつけた男が剣を投げてきたようだった。

 その目は闘志に燃えている。侵入者? ああ、私を学園に侵入してきたやつだと。


「私は……」

「なぜお前は……学園入足証をつけていない! 侵入者だろてめえ!」

「学園入足証?」

「それがないと結界で守られてる学園には入れねえはずだぜ! てめぇ、どうやって結界を壊しやがった」

「そうなのか」


 すんなり入れたけど。


「ここに入れるのは王騎士の証をもつやつか、入足証を持ってる奴だけだぜ! てめえは王騎士でもなければ入足証もねえ! 敵だな!」

「なるほど。怪しまれるわけだ」


 あの学園長にも。

 だがしかし、もし仮に私が敵だったとして一人で挑むというのはいただけないが……。私ははぁ、と溜息をつく。


「この馬鹿カンジ! その人の背中をよく見なさい!」

「ってぇ!」


 と、背後から女の子に殴られていた。


「背中って……」

「あのでかい白い翼が見えないの!?」

「翼……? って、マジだ! ってことは天使様……?」

「ん? あ、うん。一応天使だけど」

「なら入れるな! 聖なるものだからな!」

「うちのバカがごめんなさい天使様!」


 と、ぺこりと頭を下げてきた。

 どうやら天使であるということが幸いしたらしい。天使は聖なるもの、と認識されているようで、結界の中に入れたのもそれが原因だとか。


「気にしてないけど……。もし仮に私が敵だったとして一人で挑むのはさすがに駄目じゃない?」

「うっす!」

「天使様の言う通りだよ! あんた一人でどうにかなる敵じゃなかったらどうしたのさ!」

「その時は! 戦士として死ぬまでだ!」

「バカじゃないの!?」


 バカだな。

 こういうのを無謀というのだろうか。


「おい、そこをどけお前ら」

「王子様!?」


 王子様が馬にまたがっている。


「それ学園で飼育している馬じゃ……」

「そんなこと言ってる余裕はない! 後で返す! 無断で借りていくから先生に言っておいてくれ!」

「どこにいくんですか! お供します!」

「王城だ! 急いでるから連れていく余裕はない!」


 そういって、馬を走らせた。

 走っていくよりそっちのほうが早いか。


「さて……じゃ、私も緊急クエストをやるか……」


 ペストの原因、ネズミの大量発生。

 その原因を探る。見当もなにもない。しらみつぶしに探していくしかないか。






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