うぇーい!
ミコトについていくと、長い石段が見えた。
長い石段の前には……
「て、天使?」
「ああ、我が同族……」
天使がぐったりとしていた。
金色の髪をした可愛らしい女の子の天使。だがやつれており、もう死にかけ。
「お願いであります……。近くに女神の泉と呼ばれる神聖な泉があり……そこの水を持ってきてくださぁい……」
ということだった。
私は空高く飛び上がりその泉を見つけたので汲んで戻ってくると、その水をガブガブと飲み始め、やつれていた頬が回復。
「いやぁー、大復活、ミカエルちゃん大復活!」
「み、ミカエル?」
「そーです! 熾天使みかたんとは私のこと! よろ〜!」
「よろ〜!」
「で、なんでこんなとこに熾天使様がいるんだよ」
「それ君がいう〜? 君も熾天使になった子だよね〜! ぶっちゃけると、うち天界でめちゃくちゃ偉い立場なわけよ! 熾天使だから! でもそんなの嫌で逃げたらウリエルに怒られちゃって! そのまま墜落させられて動けなかったの!」
逃げてきたのかよ。
「わかる! そんな束縛嫌だよね! うちも!」
「話わかるね! なかーま!」
「なかーまうぇーい!」
「うぇーい!」
「女二人でも姦しい……」
ミカエルがこんなミノルと同類と思いたくないんだけど。ミノルは一人でいいんだよ。それ以上いるとマジでうるせえ。
「とりま、あんがと! お礼しなくちゃね! 新人熾天使ちゃんたちにスキルをあげる!」
《スキル:天使の光 を取得しました》
というアナウンスが。天使の光というのは使っていると少しずつ体力が回復していくらしい。
天使の慈愛に溢れているかのようなスキルだ。
「うぇーい! さんきゅーミッカ!」
「うぇーい! ミノー!!
「あのー、このノリなんです?」
「わかりかねますな」
「ウェーイ! こういうのはノるに限る!」
「……」
「シグレうぇーい!」
「うぇーい!」
「うぇーーい!」
やばい。めちゃくちゃうるさい。
ミノルがグリグリと頬に指当ててくる。うぇーいとノリを強要される。
これだから年がら年中ノリで生きてるようなヤツは……!
「それより神殿に行かないのでありますか?」
「うぇーい!」
「もういいっての……」
「……はっ、殺気。私戻るし! 急いで帰らないと本当にやばいし!」
「じゃーねー! またあそぼーねー!」
「ウェーイ! ズッ友ウェーイ!」
と、光に包まれてミカエルが消えていく。
「あれ治したくなかったから手伝えって言ったの?」
「いや……単純に女神の泉が見つからなかったのさ。ランダムで場所が変わるようでね。運に見放されているのか泉らしきものは見つけられなかったのさ」
「なるほど」
「うぇーい! それじゃ登ってこー! うぇーい!」
「あのー、まだあのノリなんですけど……」
「あれは単純バカだからしばらく続く」
こうなったらウザいミノルになるのだ。怒鳴ったら泣くから怒鳴れないんだけど。
うぇいうぇいっていう陽キャ嫌なんだよな。そういうノリを強要してくるから。
「まあ、あのノリのときはわがままとか言わないからしばらくほっとけ」
「は、はい」
私たちは石段を登り始めたのだった。




