運がいい
リッチを倒したので残りはデュラハンだけだった。
少し苦戦しているようだ。私は光の矢を構え、矢を放つが、大剣が矢を打ち落とす。こりゃ一筋縄じゃ無理そうだ。
真の敵はデュラハンか。
「うおっしゃあ! 俺もいいとこ見せねえとなぁ!」
と、カイザーは思い切り力を籠め、ぶんなぐっていた。デュラハンは押され、思わず後ろに後ずさったがそれをカイザーは許さない。
そのまま拳のラッシュを加える。
「ジャブ、ジャブ、ストレートォオオオオオ!」
「ぬお……」
「一閃」
と、刀で切り裂くショーグン。二人の連携はすごく、攻撃する暇を与えない。これは勝ったか? いや、これフラグだな。
フラグ建築はしないに限る。
「よっしゃ! とどめの一撃いくぜゴラァ!」
と、カイザーは強く地面を踏みしめ、そのままデュラハンを蹴り上げる。
そして、落ちてきたデュラハンめがけて力いっぱい拳を突き出した。みぞおちに深くめり込むカイザーの手。デュラハンは祭壇の外まで吹っ飛び、そのまま消えていったのだった。
「よっしゃああああ! どんなもんだ!」
「俺らだって掲示板で有名なほうのプレイヤーだぞっと」
さすが。
すると、祭壇の真ん中に宝箱が現れた。私たちはその宝箱に近づいていく。キラキラと光るエフェクトが出ている宝箱。中に入っているのは何だろう。
「……シグレ、開けてみろよ」
「私でいいの?」
「今日のMVPはシグレだろ?」
「そうそう。開けるのは一番活躍した人にさせなきゃ」
そういうので、私は宝箱を開けてみた。
すると、中には何やら装備が入っていた。白いローブに何かポーションのような液体。これは一体何なのだろうか。
「なんだこれ」
私はローブを羽織ってみる。すると、アナウンスが聞こえてきたのだった。
《熾天使のローブを装備を確認しました》
《種族が進化いたします》
《天使最上種:熾天使 となりました》
《熾天使スキル:アイギスの盾を取得しました》
というアナウンスが響く。
熾天使……? 熾天使は天使の階級の中でも一番上……。ガブリエルだったりミカエルだったりラファエルだったり……そんな天使たちの階級……。
うそでしょ?
そして、アイギスの盾。これがやばかった。
私の周りに一定時間ダメージを反射する盾を作り出すというもの。無効化ではなく、反射。つまり、剣で切ったら相手には剣で切られたダメージが。魔法を打たれたら相手に魔法の攻撃が。
だがしかし、一定時間しか作り出せないということなので常時身にまとうということはできないが……。それでもやばいスキルには変わりない。
「なぁ、俺種族が変わったんだけど……。リッチキングってなったんだけど……」
「俺は変わってねえぜ!? ただ、超人って進化した!?」
「私は熾天使になった……。翼でかくなった……」
私の翼は一回り大きくなっていた。鳥のようなものではなく、長さがもう私の身長以上ある。
「いち早く掲示板に書き込まなくては! 自慢……もとい情報共有のために!」
「あいつらボスだとしても復活するのかな?」
「するで。ただ……あんたらのようなもんは手に入らへん。あれはダンジョン初回攻略特典や」
「そんなのあるの?」
「ダンジョン界もそういうもんあるんやで」
あるのかよ。
とりあえず私たちはひとまず帰ることになった。帰りは遺跡の窓から飛び降りる。そして、私は二人をそのまま支え、地面に降りる。
「よし、帰って掲示板に書き込みじゃああああ!」
「種族が強力なものになったのはいいね。運がいい」
最近、思うのだが私の運の良さがやばい。
歴代主人公の中でラック値が一番高い以外は割と普通の女の子




