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風化した遺跡 ④

 私たちは二階で次の階への階段へ向かっていると。

 目の前をなんだかプレイヤーが歩いていた。


「やっとプレイヤーがいたな」

「このダンジョン、迷路だから出会わないよな」

「本当に迷路だよね」


 迷路のように入り組んでいるので遺跡の中に誰かが入っていても気づくことはない。それに、私たちより前のプレイヤーが攻略最中でも違和感はないわな。

 前を歩くプレイヤーはぺちゃくちゃと話しながら道をふさいでいる。それだけが腹立たしいが。


「別の道探そうぜ」

「せやなぁ。ここだけじゃあらへんし別の道いこか」


 ミミクが違う道へと案内を始めた。

 道中、ミイラ男の襲撃に会ったりはしたが、光の矢で一撃。


「ここまでアンデッドが多いとボスもアンデッドじゃないか?」

「せやで」

「そうなの?」

「ボスは……せやなぁ。デュラハンの変異種や」

「デュラハンの……」


 デュラハンといえば首なし騎士だよな? 首を片手に剣をふるうあの。それの変異種か。


「変異種ってやっぱ強いのか」

「せや。変異種というのは一体一体ボスのような能力があるで。そりゃ低い確率でしか誕生せえへんしな」


 なるほど。


「本来は俺様もボスになってよかったんや。でもそんな面倒なことやりたくなくて譲ったんや」

「もしかして顔見知り?」

「この遺跡内の魔物はな。でも俺様は人間の味方に付いたし敵対することにはなると思うで」


 戦わずに済めばよかったんだがそれは無理そうだな。

 

「この遺跡に何種類変異種がいるんだ?」

「この遺跡にはせやなぁ。俺様含めて三種類……。ミイラ男、ボスのデュラハン、そして俺様や」

「へぇ。じゃあ目の前にいるのは?」

「ミイラ男の変異種やな。って。おわぁ!?」


 目の前には白い包帯ではなく、黒ずんだ包帯を巻いているミイラ男がいた。包帯を引きずり、こちらに近づいてくる。

 そして、包帯を飛ばしてきたかと思うと、ミミクに包帯が巻き付いた。


「させるかぁ! ファイア!」

「うあ……」


 と、包帯が燃える。

 そして、反撃といわんばかりにミミクは蓋を閉じ、揺れだした。何が出てくるのだろうかと思うと、巨大な宝石がミミクの口から吐き出される。

 その宝石たちはミイラ男の変異種に降り注ぐ。


「うあ……」

「ジュエルレインやー! 俺様の体の中にはお宝がいっぱい!」

「あとで拾おう」

「たくましいなわれ」


 もったいない。

 巨大な宝石の雨が降り注いだミイラ男の体はぼろぼろになっていたが、まだ立っている。また包帯を伸ばしてきた。

 ファイアを唱え、先ほどのように燃やそうとするが、今度は軌道を変え、私のほうに飛んでくる。私は光の矢で撃ち落そうとするが、動き回って当てづらい。

 そして、そのまま包帯は私に巻き付き、私の体が引っ張られる。


「おわっ!」

「うあー!」


 と、私はそのまま地面にたたきつけられた。

 体力が持っていかれる。物理防御はやっぱ私にはない……。影魔法を使うべきだったな……。


「いって……」

「まだやるつもりや!」

「影魔法」


 私は影魔法を使い拘束を解く。

 私の体は影となる。そして、光の矢を放った。


「な、なんやその魔法……」

「影魔法」

「そないな魔法が……。見た目はアンデッドみたいなもんやんけ」

「そうなのか?」

「黒い体に赤い目はビビるぜ普通に」


 でもお化けとか嫌いなミノルはビビってなかったけど。


「うあー!」

「まだ生きてんのか! しぶてえな!」

「もう一発!」


 私はもう一発光の矢を放つ。

 光がミイラ男を貫いて、今度こそミイラ男は消えていったのだった。







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