剥離
皆の注目を浴びながら、俺はゆっくりと目の前の存在、目黒さんの腹部に埋め込まれたドローンの機体に、小さくなった刀を滑り込ませていく。
最初の目標は、この機体の切り離しだった。
──因果律の存在のまわりにこびりついている、無数の簒奪された魂をまずは解放して、と。
それは一種の、言ってみれば解体作業に近かった。
加藤さんが作ってくれたこの空間は、解体作業をするのに、とても便利だといえる。
月を経由させてダンジョンを世界中に生み出し、それを橋頭堡にして、この世界に生きるものの魂を簒奪しようとしていた因果律。
俺に対抗するために、因果律はその世界中に展開させていたダンジョンを回収して、更には目黒さんの肉体を使い、早川の魂を取り込んで顕在化したのだろう。
なかなか手の込んだことをしているのが、解体する小刀を通じて俺にも伝わってくる。
──とはいえ、はた迷惑なだけだけど。
慎重に俺は手を動かしていく。
その指使いに迷いはなかった。
闇と化したそれはコボルドだった時よりも、それどころか人の手指よりも自由自在で、ハンドメイド程度の嗜みしかない俺でも簡単に作業が進んでいく。
──因果律は、神としては、なかなかの存在感な訳か。
因果律を解体する作業は簡単だが、その結果は激しいものがあった。
それを解体するのに、この加藤さんが作ってくれた空間がなかったら、結構な被害が周りに及んでいたかもしれない。
今も切り離した魂が一つ、荒御魂と化しかける。それも仕方のないことだろう。
──望まぬ形で異界へと連れ去られて、こんな醜悪な存在の一部にされてたんだしな。少しぐらい荒ぶるよね
俺は同情を持ってそれを鎮めると、優しく解き放ってあげる。
加藤さんとイサイサの作ってくれたこのスペースがあることで、俺は安心してその一連の流れに専念できる。
そういうこともあって、俺は解体作業に勤しんでいた。
──よし、魂で出来た因果律の一番、外側の排除はこれで全部だな。
解放された魂たちが、喜んでいるように虚空へと消えていく。
果たして輪廻の輪のようなものがあるのか、ただ虚空へと消えるだけなのかは、それを見送る俺でもわからないことだった。
コミック三巻が9/27発売となります!
それにあわせて、ニコニコ漫画、カドコミにて、今だけコミカライズ五話まで読めるキャンペーン中のようです~
もしまだコミカライズをご覧になってない方がいらしたら、この機会に是非是非、覗いてみてください~




